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林業試験場

ブナアオシャチホコ

ブナアオシャチホコ

写真1 

写真2 幼虫。函館市、ブナ。1981/8/28。

被害の特徴
樹 種 ブナ。
部 位 葉。
時 期 夏。
状 態 葉が食べられる、なくなる。幼虫がみられる。林床に虫糞がある。
幼虫 体長最大約45mm。体は緑色、背中に縦縞がある。中央の縞は青または赤色、両側を黄色で縁取られる。

和名  ブナアオシャチホコ

学名 命名者  Quadricalcarifera punctatella (Motschulsky)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、シャチホコガ科Notodontidae


寄主  ブナ・ハンノキ(文献1985)。

生態  生活環は下表のとおり(文献1985を一部改変)。年1世代;蛹で越冬;雌成虫は葉裏に卵をまとめて産み付ける;幼虫は小さなときは集団で葉を食べるが、成長すると分散する;老熟幼虫は地上に降りて落葉中に薄い繭を作って越冬する(文献1985)。

 発育ステージ ~3月   4    5    6    7    8    9   10   11~
 蛹(越冬) +++ +++ +++          ++ +++ +++ +++
 成虫・産卵           ◎ ◎◎◎ ◎                  
 幼虫(摂食・成長)              ◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆            

分布  北海道南部・本州・四国・九州(文献1985)。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害など  ブナ林で時々多発する。発生の多いときはすべての木で葉が食いつくされるが、枯れることはない(文献1985)。被害は1~3年続き、それから5~6年くらい被害がないといった発生傾向を示す(文献1985)。防除は普通必要ない。


文献
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (北海道での生態、カラー写真)

2011/3/31