森林研究本部へ

林業試験場

モモシンクイガ

モモシンクイガ
被害の特徴
樹 種 モモ、スモモ、リンゴ、ナシ、ハマナスなどバラ科樹木。
部 位 バラ科樹木の果実。
状 態 果実が食べられる。糞や糸がみられる。内部に幼虫がいる。
幼 虫 体長最大約14mm。頭部は黄褐色。頭部のすぐ後の背面にある前胸背楯は褐色。体の背面の刺毛基板は褐色。体は黄白色、成長すると赤くなる。尾叉(肛門下側の櫛歯状の刺毛)はない。
類似の害虫としてナシヒメシンクイがいるが、この種の幼虫は尾叉を持ち、また、体の下側が白く、刺毛基板がうす茶色。

和名  モモシンクイガ

学名 命名者   Carposina sasakii Matsumura
文献2010参照。

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、シンクイガ科Carposinidae


寄主  リンゴ・ズミ・モモ・スモモ・ボケ・アンズ・ナシ・ハマナスの果実(文献2010)。

生態  成虫は6~9月に発生、北海道では年1化(文献2010)。老熟幼虫のとき、土中の浅いところに繭を作って越冬する。春に地表近くに移動し、再び繭を作り蛹になる。

分布  北海道・本州・四国・九州(屋久島まで)・対馬、韓国、中国東部、極東ロシア(文献2010)

被害と防除  果樹の重要害虫で、果樹園では防除が行われている。庭木で発生することもある。被害果を摘み取って処分し、害虫の発生量を減らす。果樹以外の樹木(ハマナスなど)の被害果も処分する。


文献
[1976] 駒井古実, 1976. モモ, リンゴ, ナシの果実に食入するシンクイムシ類の見分け方. 植物防疫, 30: 245-252. (形態、生態)
[1983] 上条一昭, 駒井古実, 鈴木重孝, 1983. ハマナスを加害する害虫. 光珠内季報, 55: 17-21. (生態、形態
[1986] 山口昭, 大竹昭郎, 編集, 1986. 果樹の病害虫, 診断と防除. 全国農村教育協会, 東京. (形態、生態、被害、防除)
[2010] 那須義次・玉嶋勝範・柴尾学・吉松慎一・内藤尚之, 2010. ニッポンシロシンクイ(新称)の再発見とモモシンクイガの合成性フェロモントラップに誘殺されるシンクイガ類(鱗翅目:シンクイガ科). 日本応用動物昆虫学会誌, 54: 115-126.

2001/9/30