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林業試験場

コメツガクチブサガ

コメツガクチブサガ
被害の特徴
樹 種 トドマツ。
部 位 新葉。
時 期 6~7月。
状 態 葉が赤く枯れる。葉や枝に糸が張り巡らされる。葉の裏面が食べられる。
葉や枝上に長さ8mmくらいの細長い黄色の繭がある。繭の両端はとがる
幼 虫 体長最大約14mm。体は白から淡い緑色、背中に4本の赤から緑の縦筋と小さな黒点がある。

和名  コメツガクチブサガ

学名 命名者・年   Ypsolopha tsugae Moriuti, 1977

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、スガ科Yponomeutidae


形態  上述のとおり。幼虫については文献1984a、繭については文献1984b・1985を参照。

寄主  トドマツ・コメツガ(文献1984a)。

生態  年1世代。幼虫は6月に当年生葉を食べる。年1世代;越冬態は不明;幼虫は6月にトドマツの枝にあらく糸を張りその中に生息する;葉の裏面をけずりとるように食べるので、残った部分が黄色や赤く枯れて目立つ;6月中旬~7月上旬に葉上で繭を作って蛹になる;成虫は7月に出現(文献1984a)。

分布  北海道・本州(文献1984)。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害など  北海道のトドマツ林で1980年代に多発したが、その後は被害記録がないようである(樹木害虫発生統計資料を参照)。被害により新梢が枯れる(文献1987・1988)。


文献
[1984a] 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂食する小蛾類. 北海道林業試験場報告, 22: 85-129.
[1984b] 小泉力(北海道森林昆虫談話会), 1984. 昭和58年度北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 36: 165-170.
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (北海道での生態、カラー写真)
[1987] 吉田成章(北海道森林昆虫談話会), 1987b. 昭和61年度・北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 39: 179-184.
[1988] 小泉力(北海道森林昆虫談話会), 1988. 昭和62年度・北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 40: 218-224.

2011/6/20