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ツゲノメイガ

ツゲノメイガ

写真1 幼虫。美唄、クサツゲ。2005/6/20。

被害の特徴
樹 種 ツゲ科のクサツゲ、セイヨウツゲ、チョウセンヒメツゲ、ツゲ(ホンツゲ)。モチノキ科のイヌツゲ、ツルツゲは被害がない。
部 位 葉・新芽。
時 期 春~秋(5月~9月、幼虫加害時期)。
状 態 葉が薄茶色に変色したり、食べられる。食害部位やその近くには糸が張り巡らされ、幼虫(写真1)や蛹がいる。
食害が激しい場合は、木が枯れることがある。
幼 虫 体長最大約3.5cm。単独性。
緑色(写真1)。背面中央は細く緑色で、その両側に白色、暗緑色、白色、暗緑色の縞が交互に並ぶ。背面には黒色の小さなコブがある。頭部は黒色。胸脚は褐色。

和名  ツゲノメイガ

学名 命名者・年  Glyphodes perspectalis (Walker, 1859)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ツトガ科Crambidae


寄主  ツゲ科ツゲ属のクサツゲ、セイヨウツゲ、チョウセンヒメツゲ、ツゲ(ホンツゲ)(文献1992)。

生態  年2~3回発生。北海道での詳しい生活史は不明、幼虫の食害は春から秋までみられる。東京都・千葉県では年3化で、越冬世代成虫は5月中旬から6月下旬、第1世代成虫が7月下旬から8月下旬、第2世代成虫が8月下旬から9月中旬に羽化し(文献1987)、中齢幼虫が葉上に繭を作って越冬する(文献1991)。

分布  国内では本来の宿主であるツゲは本州中部以南の暖地に分布することから、本州北部から北海道にかけての発生は緑化樹としてのツゲの植栽にともなうものと考えられる(文献1987)。

被害と防除  ツゲを植えれば必ず発生するといわれ、被害が激しい場合には枯死にいたる(文献1975)。道内でも同様である。クサツゲが他のツゲ属に比べ被害が大きい(文献1992)。
 春から秋にかけて植栽木を頻繁に観察し、変色したり糸でつづられたりする葉を目印に幼虫の発生を確認し、幼虫を取り除く。


文献
[1975] 上住泰, 1975. 緑化樹木を加害するりんし目害虫とその防除. 植物防疫, 29: 349-354.
[1987] 丸山威・真梶徳純, 1987. ツゲノメイガの生活史に関する研究, I. 成虫の発生時期と発育速度. 日本応用動物昆虫学会誌, 31: 226-232.
[1991] 丸山威・真梶徳純, 1991. ツゲノメイガの生活史に関する研究, II. 幼虫の発育経過. 日本応用動物昆虫学会誌, 35: 221-230.
[1992] 丸山威, 1992. ツゲ種類間におけるツゲノメイガの被害差異. 日本応用動物昆虫学会誌, 36: 56-58.

2009/1/24