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林業試験場

カブラヤガ

カブラヤガ
被害の特徴
樹 種 苗畑の稚苗(マツ、トウヒ、スギ、ヒノキ、ヒバなど)。
部 位 苗木の根際部、稚苗の柔らかな茎、播種床の萌芽。
時 期 春~秋。
状 態 苗木が根際を噛み切られ倒れる、噛み切った上部が土中に引き込まれる。 稚苗の柔らかな茎、播種床の萌芽が食べられる。 近くの土中や落葉などの下に幼虫がいる。
幼 虫 体長最大4.5cm。小さなものは緑色。成長したものは頭部が黒褐色、胸腹部が灰褐色で多少緑色を帯び、腹面は淡い灰緑色、黒褐色の縦縞模様がある。
備 考 野菜や牧草の重要害虫である。

和名  カブラヤガ

学名 命名者・年  Agrotis segetum (Denis and Schiffermuller, 1775)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ヤガ科Noctuidae


形態  幼虫は体長最大4.5cm;小さなものは緑色;成長したものは頭部が黒褐色、胸腹部が灰褐色で多少緑色を帯び、腹面は淡い灰緑色、背面線・亜背線・気門線は黒褐色(文献1943)。

寄主  マツ、トウヒ、スギ、ヒノキ、ヒバなどの稚苗(文献1943)。

生態  年2回または3回発生、幼虫で越冬;年2回発生の場合は、6~7月頃と8~9月頃に羽化し、3回発生の場合は4~5月、7月、9月に羽化する;雌は葉裏または地上に点々と産卵し、特に好んで湿地に産卵する傾向がある;幼虫は3齢頃まではハコベ・アカザ・クローバーなどを食べる;昼間は土中や落葉の下に潜伏し、夜間に苗木の根際を噛み切り、または上部を土中に引き込む;時には稚苗の柔らかな茎、播種床の萌芽を食害する;秋に孵化した幼虫は少し摂食した後に地中に潜入し越冬する;翌春、再び摂食し、次いで地中で蛹化する(文献1943)。

分布  北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、中国、台湾、マレー半島、インド、ヨーロッパ、オーストラリア(文献1943)。

被害と防除  苗圃の1年生稚苗に最も被害が多く、根際を食害されるため被害苗は枯死をまぬがれない;マメ科やアブラナ科の農作物の跡地や牧草地・草原に作られた苗圃では被害が多い(文献1943)。
 被害苗を発見した時は根元を掘って幼虫を捕殺する;苗圃に発生するハコベ・アカザ・クローバーなどは被害の誘因とため、除草を行う(文献1943)。


文献
[1943] 松下眞幸, 1943. 森林害蟲學. 410pp. 冨山房, 東京. (形態、生態、被害、防除、過去の文献;なお、上記引用部分の出典は確認していない)

2009/2/6