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林業試験場

ノコメトガリキリガ

ノコメトガリキリガ

写真1 若齢幼虫、体長10mm。新得、ハルニレの若い実。1992/6/3。

写真2 老齢幼虫、体長26mm。1992/6/8。写真1を飼育。

写真3 雄成虫、体長13mm。写真1を飼育。

被害の特徴
樹 種 モモ、ナシ、リンゴなど広葉樹。
部 位 花、つぼみ、若い実。
時 期 早春。
状 態 花、つぼみ、若い実を食べられる。幼虫がいる。
幼 虫 体長最大約40mm。色彩は中~終齢の間で変わらない。類似種との区別点として、腹部2~6節の各節後方の背面両側に三角形の褐色斑があり、また、その斑紋の側縁は黄褐色であること、肛上板(腹端の背面)がほぼ一様な色調であることがあげられる。

和名  ノコメトガリキリガ

学名  Telorta divergens

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ヤガ科Noctuidae


寄主  モモ、ナシ、リンゴ、ボケ、ツバキのつぼみや花。北海道ではハルニレの若い実から採れた。

生態  年1化、卵越冬、成虫は10~11月、幼虫は3~4月に出現するという。北海道の低山地では6月初めに中齢幼虫が採れ、飼育したところ6月下旬に土中で営繭、9月下旬に成虫になった。樹幹に産卵し、若~中齢幼虫は花やつぼみを食べ、花が終わる頃に現われる老齢幼虫は葉を食べるという。

分布  北海道・本州・四国・九州、アム-ル。

被害  モモではモモノハナムシと呼ばれ、害虫とされている。


文献
[1958] 江崎悌三ほか, 1958. 原色日本蛾類図鑑(下): I-V, 1-303, pls 65-136. 保育社, 大阪.
[1965] 一色周知, 監修, 1965. 原色日本蛾類幼虫図鑑(上): 1-238, pls 1-60. 保育社, 大阪.
[1977] 小林富士雄, 1977. 緑化樹木の病害虫(下)害虫とその防除. 290pp. 日本林業技術協会, 東京.
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1987] 杉敏郎(編集), 1987. 日本産蛾類生態図鑑: 1-453, pls 1-120. 講談社, 東京.
[1996] 原秀穂, 1996. ハルニレの種子の害虫. 光珠内季報, 101: 4-7. (宿主)

2001/1/18