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林業試験場

オオモンキキリガ

オオモンキキリガ

写真1 老齢幼虫、体長26mm。新得町、ハルニレ。1992/6/8。

写真2 雄成虫、体長25mm。写真1の幼虫を飼育。

写真3 食害されたハルニレの実。新得町。1992/5/20。

被害の特徴
樹 種 ハルニレ。
部 位 花や若い実。
時 期 春。
状 態 花や若い実が食べられる、なくなる。若い実が糸で綴り合わされ、中に幼虫がいる。
幼 虫 体長最大約30mm(写真1)。中~終齢の間で色彩はほとんど変化しない。腹部第3または4節以降の背面両側にやや淡い菱形の模様が並ぶ。肛上板(腹端背面)は中央が暗く、その両側が黄褐色に縁取られる。

和名  オオモンキキリガ

学名  Xanthia tunicata

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ヤガ科Noctuidae


寄主  ハルニレの花や若い実(文献1996)。

生態  成虫は9~10月に出現といわれている。北海道の低山地では6月上旬に中~終齢幼虫が採れ、飼育したところ6月中~下旬に土中で繭となり、8月下旬に成虫になった。
 幼虫は雌花や若い実を主に食べるが、葉も食べる。若~中齢幼虫は樹上で若い実を綴って巣を作るが、老齢幼虫は樹上にみられない。幼虫は刺激を与えると、体が柔らかくなり死んだようになる。

分布  北海道・本州、アム-ル。

被害  1990~92年十勝新得町でハルニレの実が豊作になったが、昆虫による実の食害率は充実したものの90%以上に達し、主要な加害昆虫の1つはオオモンキキリガであった(文献1992、1996)。なお、葉の食害はわずかである。


文献
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1992] 清和研二, 1992. ハルニレの種子散布と稚苗の出現. 日本林学会北海道支部論文集, 40: 77-79.
[1996] 原秀穂, 1996. ハルニレの種子の害虫. 光珠内季報, 101: 4-7. (被害、生態、形態)

2001/4/9