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林業試験場

シマカラスヨトウ

シマカラスヨトウ

写真1 中齢幼虫、体長18mm。新得、ハルニレ。1993/6/14。

写真2 老齢幼虫、体長31mm。1993/6/23。写真1の幼虫を飼育。

写真3 雄成虫、前翅長19mm。写真1の幼虫を飼育。

被害の特徴
樹 種 リンゴやスモモなど。
部 位 葉。
時 期 6月。
状 態 葉が食べられる、なくなる。枝や葉上に幼虫がいる。被害木の下の地面に虫糞がある。
幼 虫 体長最大約40mm(写真1)。尾端近くの背面が盛り上がり、成長するとそこに黄色のトゲが生える。
よく似た幼虫にオオシマカラスヨトウの幼虫がある。この種では中胸の白斑が大きく、互いに近接する。
腹部8節背面の突起はスズメガ科やシャチホコガ科の一部にもみられるが、色彩により容易に識別できる。

和名  シマカラスヨトウ

学名  Amphipyra pyramidea obscura

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ヤガ科Noctuidae


寄主  コナラ、クヌギ、サクラ、リンゴ。道内ではハルニレやポプラでも採れている。

生態  年1化、卵越冬、成虫は7~9月にみられ、夏に休眠し、幼虫は晩春に出現するという。北海道の低山地では6月中旬に中齢幼虫が採れ、飼育したところ6月下旬に営繭、7月下旬に成虫になった。

分布  北海道・本州。

被害と防除  果樹園ではリンゴ、モモ、スモモの害虫とされるが、通常の防除作業を行っていれば問題にならないようである。
 発生量は一般に少なく果樹園以外では特に問題になったことはない。


文献
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1987] 山口昭, 大竹昭郎, 編集, 1986. 果樹の病害虫, 診断と防除. 全国農村教育協会, 東京. (形態、生態、被害、防除)
[1987] 杉敏郎(編集), 1987. 日本産蛾類生態図鑑: 1-453, pls 1-120. 講談社, 東京.

1994/1/13