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リンゴハダニ

リンゴハダニ

 リンゴ、ナシ、モモ、オウトウなどバラ科果樹の重要害虫である。葉を変色させる。

写真1 ハダニの1種による被害。函館、街路樹のリンゴ、1996/8/29。

食害の特徴
樹 種 リンゴ、ナシ、モモ、オウトウ、スモモ、アンズなどバラ科果樹。
部 位 葉。
時 期 春~秋(加害時期)。
状 態 葉がスプレー状に銀白色になり、やがて褐色に変わる。
ルーペで観察すると微細な糸、点状の黒い糞、ごく微小な暗赤色のダニがみられる。
ダニは最大長約0.4mm。暗赤色で、毛の根元および脚は白っぽい。毛の根元はこぶ状になる。バラ科果樹には他に数種のハダニが寄生するが、毛の根元の状態で区別できる。

和名  リンゴハダニ(文献2007など)

学名 命名者・年   Panonychus ulmi (Koch, 1836)

分類  ダニ目Acari、ケダニ亜目Prostigmata、ハダニ科Tetranychidae


分布  北海道・本州;海外の分布は広い(文献1993)。

形態  文献1993、2007を参照。カラー写真が文献1993にある。

生態  宿主はバラ科果樹のリンゴ、ナシ、オウトウ、モモ、スモモ、アンズなど(文献1993、2007)。
 葉から樹液を吸収する。葉の両面に寄生するが、葉表に多い(文献2007)。卵越冬;休眠卵は濃い赤色で、葉芽腋、花芽基部、2~5年枝の分岐部などにまとめて産みつけられる(文献1993)。札幌では5月中旬~10月下旬に活動し、5~7世代を経過する(文献1993、2007)。個体数は8月にピークになる(文献2007)。

被害  リンゴ、ナシ、モモ、オウトウなどバラ科果樹の重要害虫である(文献2006、2007)。多くの国でリンゴの主要害虫として著名である(文献1993)。
 被害は葉全体に白斑点として現れ、寄生数が多いと葉は銀白色になり、やがて褐色に変わる;柔らかな若葉より緑色の濃い成葉を好む傾向がある(文献1993)。


文 献
[1993] 江原昭三(編), 1993. 日本原色植物ダニ図鑑. 298 pp. 全国農村教育協会, 東京.
[2006] 梅谷献二・岡田利承(編), 2006. 日本農業害虫大事典. 1203pp. 全国農村教育協会, 東京.
[2007] 江原昭三・後藤哲雄・上遠野富士夫・岡部貴美子, 2007. 植物ダニ類の見分け方. 120pp. 日本植物防疫協会, 東京.

文章 原秀穂(北海道立林業試験場)、2010/3/31
写真撮影 館和夫(北海道立林業試験場)