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エゾマツシントメタマバエ

エゾマツシントメタマバエ

写真1 シントメタマバエによるアカエゾマツ被害。留寿都、1997/10。

写真2 シントメタマバエによるアカエゾマツ被害芽。上の芽の丸い穴は寄生蜂の脱出口、右下の芽の先にあるのはタマバエ蛹の抜け殻。美唄、1997/6/13。

写真3 アカエゾマツ新芽に産卵中の雌成虫。美唄、1997/6/13。

被害の特徴
樹 種 エゾマツ、アカエゾマツ。
時 期 秋~春。
部 位 冬芽。
状 態 冬芽が白く丸く膨らむ。春になっても芽が開かない。
芽の内部に黄色の幼虫がいる。幼虫は体長最大約3.5mm。

分類  ハエ目(双翅目)Diptera、タマバエ科Cecidomyiidae


和名  エゾマツシントメタマバエ

学名  Dasineura ezomatsue

分布  北海道・本州。

生態  年1世代;成虫はエゾマツの冬芽が開く5月上中旬に出現する;雌成虫はふくらみ始めた新芽に産卵し、孵化した幼虫は新芽の中心で栄養を摂取し、寄生された新芽は葉の展開がとまり、ふくらんで虫えい(虫こぶ)になるといわれている;虫えいの中で幼虫で越冬し、翌春に蛹化する;蛹は虫えいから上半身を外に出し、成虫が羽化する(文献1985)。


和名  未定、アカエゾマツのシントメタマバエ

学名  未定、Dasineura sp.

 エゾマツシントメタマバエとは成虫発生時期が異なるため別種と考えられるが、詳細な分類学的研究は行われていない。

分布  北海道。


被害観察地域(2種を含む) (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害  幼齢林や庭木で被害が記録されている(文献1981、1982など)。


文献
[1981] 小泉力(北海道森林昆虫談話会), 1981. 昭和55年度北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 33: 155-159.
[1982] 小泉力(北海道森林昆虫談話会), 1982. 昭和56年度北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 34: 168-172.
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (エゾマツシントメタマバエの生態、被害、カラー写真)
[1997] 原秀穂, 1997. 道内のアカエゾマツ人工林におけるマルナギナタハバチの被害発生状況およびシントメタマバエの1種による被害の発見. 光珠内季報, 109: 6-7.
[1999] 林直孝・原秀穂, 1999. アカエゾマツの芽に虫こぶを作るシントメタマバエの一種の被害と生態. 森林保護, 274: 41-43.

2009/3/31