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ダケカンバハバチ

ダケカンバハバチ
幼虫の特徴
食べる樹種 ダケカンバ。
食べる部位 葉。
発生時期 7月~9月(本州中部亜高山帯)。
食べ方 葉脈を残して、葉肉を削り取るように食べる。葉は茶色に変わる。
形 態 幼虫は体長最大20mm。 黄色~緑色。
ハバチ科では腹部に体液の分泌腺はなく、胸脚の爪に付属物はない。
ハバチ亜目では眼(側単眼)は左右に各1個、脱皮殻は頭部から腹部までつながり、頭部が縦中央で割れる。

和名  ダケカンバハバチ(文献1997)

学名 命名者・年   Dineura betulivora Togashi, 1995

分類  ハチ目(膜翅目)Hymenoptera、ハバチ亜目(広腰亜目)Symphyta、ハバチ科Tenthredinidae、ヒゲナガハバチ亜科Nematinae


形態  幼虫は上述のとおり(文献1995)、詳細は不明。成虫の特徴は文献1995に記載されている。

寄主  ダケカンバ(文献1995、1997)。

生態  本州中部高山では年1回発生;繭内で越冬;成虫は6月末~7月初めに出現する;卵は葉柄や主脈に埋め込まれる;幼虫は7月中旬~9月中旬に発生する;幼虫に集合性はなく、低密度の状態では食痕は葉の表面上に分散してみられる;老熟幼虫は枯死木の樹皮下や地上あるいは地中の朽木中に穿孔して繭を作る(文献1997)。
 北海道では詳しい調査は行われていない。成虫は山地で7月上旬に採集された(文献2015)。

分布  北海道(文献2015)。本州(文献1995、1997)。

発生状況など  日光白根山の五色沼周辺において1990~1994年に大発生した(文献1997)。本種の食害による木の枯死は観察されていないようである。北海道では被害例はない。


文 献
[1995] Togashi, I. 1995. A new sawfly belonging to the genus Dineura Dahlbom (Hymenoptera, Tenthredinidae) from Japan. Japanese Journal of Systematic Entomology, 1: 169-173.
[1997] 北島博・磯野昌弘・福山研二・牧野俊一・伊藤雅道・上田明良, 1997. 日光白根山の五色沼周辺に大発生したダケカンバハバチ(新称)幼虫によるダケカンバの食害. 森林防疫, 46: 163-168.
[2015] Shinohara, A. & Hara, H. 2015. Taxonomic notes and new distribution and host plant records for sawflies and woodwasps (Hymenoptera, Symphyta). Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series A, 41: 171-184.

2016/5/10