キバラポプラハバチ Cladius flaviventris
樹種 | ポプラ(セイヨウハコヤナギなど)。 |
部位 | 葉。 |
時期 | 7月~9月(幼虫食害時期)。 |
状態 | 葉が縁から食害される。 食害部位やその近くの葉の上側に幼虫や幼虫の脱皮殻が見られる。 糸、蛹、蛹の抜け殻はみられない。 |
幼虫 | 体長最大18mm。 胸腹部は黄色で、背面に黒斑が2列に並ぶ。 頭部は黄白色、頭頂および側面は広く暗褐色。 集団性。 この仲間(旧Trichiocampus属)の幼虫は胸腹部に長い刺毛を生じ、刺毛基板は単色で大きい;触角は4節;腹部第1~9節は小環節数が4(背面の横じわが3);腹脚は第2~7・10(尾端)節にある。ハバチ科では腹部に体液の分泌腺はなく、胸脚の爪に付属物はない。 ハバチ亜目では眼(側単眼)は左右に各1個、脱皮殻は頭部から腹部までつながり、頭部が縦中央で割れる。 |
注) | 近縁なポプラハバチは幼虫の頭部が全体黒色である。 |
文献1985において1963~1984年に北海道で採集された標本に基づき新種として記載された。分布域は北海道だけであることから、在来種と考えられる。
和名 キバラポプラハバチ(文献2005)
別名 ニセポプラハバチ(文献1987)
学名 命名者・年 Cladius flaviventris (Togashi, 1985)
分類 ハチ目(膜翅目)Hymenoptera、ハバチ亜目(広腰亜目)Symphyta、ハバチ科Tenthredinidae
形態 幼虫は上述のとおり(文献1985)。成虫は雌で体長6.5mm、頭部・腹部が主に黒色、腹部は黄橙色(詳細は文献1985)。
寄主 ポプラ(セイヨウハコヤナギ)(文献1985)。
生態 6月と8月の2回発生(文献1987)。幼虫は9月上旬に採れている(文献1985)。
分布 北海道;道内では札幌・美唄で採集されている(文献1985)。
被害と防除 1985年、札幌での被害記録(文献1987)があるにすぎない。現状では防除は不要である。
文献
[1985] Togashi, I., 1985. The sawfly genus Trichiocampus in Japan (Hymenoptera: Tenthredinidae). Proceedings of the entomological Society of Washington, 87: 884-888.
[1987] 吉田成章(北海道森林昆虫談話会), 1987. 昭和60年度・北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 39: 106-110.
[2005] 原秀穂・篠原明彦, 2005. ハバチ科(Tenthredinidae). 青木典司ほか, 日本産幼虫図鑑: 278-280. 学習研究社, 東京.(幼虫の形態、生態の概要)