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コブシハバチ

コブシハバチ

写真1 中齢幼虫(86頭)の集団。美唄、庭のモクレンの1種、2008/6/26。

写真2 中齢幼虫、体長17~18mm。写真1の拡大。

写真3 老齢幼虫、体長20mm。写真1を飼育、2008/7/2。

被害の特徴
樹 種 モクレン科(モクレン、コブシ)など。
部 位 葉。
時 期 6月~8月(幼虫食害時期)。
状 態 葉縁から食害される(写真1)。食害は隣接する葉から葉へと連続的に発生する。幼虫や幼虫の脱皮殻が見られる(写真1~3)。被害部位の下に虫糞がある。秋から翌春までは被害木下の土中に繭がある。 糸、蛹、蛹の抜け殻はみられない。
幼 虫 体長最大約25mm。 黄色で背面は暗い灰色(写真1~3)。 頭部は黒色。 数十頭の集団を作る。
ハバチ科では腹部に体液の分泌腺はなく、胸脚の爪に付属物はない。
ハバチ亜目では眼(側単眼)は左右に各1個、脱皮殻は頭部から腹部までつながり、頭部が縦中央で割れる。

和名  コブシハバチ(文献1970)

学名 命名者・年   Megabeleses crassitarsis Takeuchi, 1952

分類  ハチ目(膜翅目)Hymenoptera、ハバチ亜目(広腰亜目)Symphyta、ハバチ科Tenthredinidae


形態  詳細は文献2010(成虫)、文献2016(幼虫・成虫)。

生態  寄主:シデコブシ(文献1923)、コブシ・オガタマノキ(文献1970)、モクレン(文献2004)、ハクモクレン(文献2016)。
 年1回発生(文献2016)。成虫は春遅く出現;雌は1枚の葉の裏側に80~90卵を産み付ける;幼虫は集団で葉を食べる;老熟すると土に潜り、繭の中で越冬する;翌春に蛹になる(文献1923、2004)。北海道では幼虫は6~8月に発生する(文献2016)。

分布  北海道、本州、四国、九州(文献2016)。

被害  激発してしばしば樹を丸坊主にする(文献2004)。これほどの被害は道内では未確認であるが、幼虫集団が非常に大きいため食害が目立つ。

防除  発生初期は1~2枚の葉に群生しているので葉ごと切り取って処分する(文献2004)。登録された農薬はない(2017年時点)。


文 献
[1923] 佐々木忠次郎, 1923. 駒場叢書花卉害虫篇. 287 pp. 大倉書店, 東京.
[1952] Takeuchi, K. 1952. A generic classification of the Japanese Tenthredinidae (Hymenoptera: Symphyta): 1-90.
[1970] 奥谷貞一, 1970. 日本産広腰亜目の食草(III). 日本応用動物昆虫学会誌, 1: 25-28.
[2004] 藤原二男, 2004. 花木・庭木・家庭果樹の病気と害虫. 211pp. 成文堂新光社, 東京.
[2010] Wei, M., 2010. Revision of Megabeleses Takeuchi (Hymenoptera, Tenthredinidae) with description of two new species from China. Zootaxa, 2729: 36?50.
[2016] Hara, H., 2016. Larva of Megabeleses crassitarsis (Hymenoptera: Tenthredinidae) infesting Magnolia. Japanese Journal of Systematic Entomology, 22: 149?153.

2017/1/23