ナナカマドキアシハバチ(仮称) Pristiphora sp.
写真1 被害。遠軽町、庭木のナナカマド、1993/7/22。 | 写真2 終齢幼虫、体長13mm。写真1の集団の一部、1993/7/25。 | 写真3 雌成虫、体長7mm。写真1の集団を飼育。1993。 |
写真4 葉内に産み込まれた卵(写真1から羽化した雌が産卵。ナナカマド、1993/8/16。 |
樹種 | ナナカマド。 |
部位 | 葉。 |
時期 | 7月~8月(幼虫加害時期)。 |
状態 | 葉が食害される。 食害部位に幼虫や幼虫の脱皮殻が見られる(写真1~2)。 糸、蛹、蛹の抜け殻はみられない。 被害木下の土の浅い所に繭や繭殻がある。 |
幼虫 | 体長最大約13mm。 体は黄色(写真3。頭部は若~中齢では黒色、終齢では黄褐色。体には黒点があり、終齢では目立って大きい。腹脚は7対。 数十頭の集団を作る。 ハバチ科の自由生活する種では、触角は4~5節、上唇には通常縦溝がない。体液の分泌腺はない。胸脚の爪に付属物はない。 ハバチ亜目では眼(側単眼)は左右に各1個、脱皮殻は頭部から腹部までつながり、頭部が縦中央で割れる。 |
和名 ナナカマドキアシハバチ(仮称)
学名 Pristiphora sp. (種名未確定)
分類 ハチ目(膜翅目)Hymenoptera、ハバチ亜目(広腰亜目)Symphyta、ハバチ科Tenthredinidae
形態 幼虫は上述のとおり。成虫は雌で体長7mm、黒色、胸脚がほとんど黄色。
生態 寄主はナナカマド。
北海道の低地では幼虫が7月下旬~8月中旬に観察されている;7月下旬に採集した終齢幼虫を室内飼育したところ、すぐに繭になり8月上旬に成虫が羽化した;この成虫に産卵させ、次世代を飼育したところ9月中旬に成虫になった;従って、1年に数回発生するように思われるが、野外では夏以外に幼虫を観察していない;雌成虫はナナカマドの葉縁に卵を次々と産み込む;幼虫は数十頭の集団を形成する(未発表資料)。
分布 北海道。
被害 1994年に苫小牧市と白老町のナナカマド街路樹で多発した記録がある(文献1995"ヒゲナガハバチの1種")。苫小牧では2000本が加害された。この多発生は1年で終わっている。食害による枯死木の発生は報告されていない。
防除 幼虫集団を取り除く。
文献
[1995] 福山研二・前藤薫・東浦康友・原秀穂, 1995. 1994年に北海道で発生した森林昆虫. 北方林業, 47: 166-169. (多発記録)
2010/3/31