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カラマツカサアブラムシ

カラマツカサアブラムシ

写真1 発生状況。小樽、カラマツ。2008/6/25。

写真2 幼虫。写真1の拡大。

写真3 卵。美唄。1985/6/30。

被害の特徴
樹 種 カラマツ属。
部 位 葉。
時 期 春~夏(綿状のものが目立つ時期)。
状 態 葉裏に小さな白い綿のかたまりや微小な黒い粒が付着する。綿状のものは成虫または卵のかたまり、黒い粒は幼虫である。

 寄主であるカラマツ属は北海道に自生しないため、北海道では外来種と考えられる。


和名  カラマツカサアブラムシ

学名 命名者  Adelges laricis Vallot

分類  カメムシ目(半翅目)Hemiptera、カサアブラムシ科Adelgidae


寄主  カラマツ属(カラマツ、グイマツ)(文献1985)。

生態  年2~3世代;幼虫越冬;枝などで越冬した幼虫は4月末~5月上旬に翅のない雌成虫になり産卵する;その子供は翅のある雌成虫か翅のない雌成虫に分かれる;有翅雌成虫はエゾマツに移動し産卵するが、孵化幼虫は発育できないといわれている;無翅雌成虫はカラマツ上で産卵する;孵化幼虫はそのまま越冬するか、成虫まで発育し、もう1世代経過し越冬に入る(文献1985)。

分布  北海道、サハリン、朝鮮半島(文献1985)。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害と防除  カラマツでの被害は道北や道東を中心に記録されている(樹木害虫発生統計資料参照)。庭などでもしばしば発生し、特にグイマツに多い。
 生長に対する影響は小さいとみられる(文献1985)。白い綿状物が目立ち、また、すす病を併発するので木が汚れる。


文 献
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌.
[1994] 尾崎研一, 1994. その他のカサアブラムシ類. 小林富士雄・竹谷昭彦(編), 森林昆虫, 総論・各論: 475-477.  養賢堂, 東京. (形態、生態、防除)

2011/5/16