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マツホソオオアブラムシ

マツホソオオアブラムシ

写真1 幼虫・成虫、体長最大1.5mm。北見、モンタナマツ、2000/6/13。

被害の特徴
樹 種 アカマツ、クロマツ、モンタナマツなど二葉のマツ属。
部 位 葉。
時 期 春~秋。
状 態 葉に黄色の斑紋ができる、落葉する。アブラムシが多数みられる。
昆 虫 体長最大2mm。体は灰色、白い粉で薄く覆われる。
五葉のハイマツにはハイマツノホソオオアブラムシが寄生する。

和名  マツホソオオアブラムシ(文献1994)
別名 マツノホソオオアブラ(文献1956、1970)。

学名 命名者・年   Eulachnus thumbergi Wilson, 1919

分類  カメムシ目(半翅目)Hemiptera、アブラムシ科Aphididae


形態  上述のとおり(詳細は文献1970、1994)。

寄主  アカマツ・クロマツ・モンタナマツ・リュウキュウマツ・タイワンアカマツ・テーダマツ(文献1970)。

生態  針葉に寄生する(文献1956)。卵越冬;春~秋まで葉で吸汁を続ける;初冬に葉上や冬芽付近に産卵する(文献1994)。

分布  北海道・本州・四国・九州(文献1970)。韓国・台湾・オーストラリア(文献1970)。
 道内では野幌・札幌・七飯で採集されている(文献1956、1970)。オホーツク地域でも確認された(写真1)。

被害など  害虫とされ、多発すると葉が黄色になり、早期落葉の原因になるとされる(文献1994)。また、被害は秋に庭木にでやすいといわれている(文献1994)。北海道でも普通にみられるが、これまで被害記録はない。商品栽培の場合を除き、防除は不要と考えられる。


文 献
[1956] 井上元則, 1956. 北海道・東北地方の針葉樹に寄生するアブラムシ. 林業試験場北海道支場業務報告, 特別報告, 5: 204-238. (形態、生態)
[1970] Inouye, M, 1970. Revision of the conifer aphid fauna of Japan (Homoptera, Lachnidae). 林業試験場研究報告, 228: 57-102. (分類、形態、生態)
[1977] 奥野孝夫・田中寛・木村裕, 1977. 原色樹木病害虫図鑑. 保育社, 大阪. (形態、生態、防除の解説)
[1983] 森津孫四郎, 1983. 日本原色アブラムシ図鑑. 全国農村教育協会, 東京. (形態、生態、カラー写真)
[1994] 喜多村昭, 1994. マツホソオオアブラッムシ. 小林富士雄・竹谷昭彦(編), 森林昆虫, 総論・各論: 406-407. 養賢堂, 東京. (形態、生態、被害、防除の解説)

2010/3/31