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ユキヤナギアブラムシ

ユキヤナギアブラムシ

写真1 幼虫と成虫、体長1~2mm。北見、庭のユキヤナギ、2000/6/13。

被害の特徴
樹 種 秋・春はユキヤナギ・コデマリ、夏はボケ・ナシ・モモ・スモモ・ウメ・サクラ・リンゴ・サンザシ。
部 位 新芽・新梢・葉。
時 期 春~秋。
状 態 若い枝葉が縮れる。アブラムシが群棲する。
アブラムシは体長最大1.8mm、つやのない緑色、触角や脚はところどころ黒い。翅のある成虫は頭部や胸部が黒い。

和名  ユキヤナギアブラムシ
別名 ミカンミドリアブラムシ。

学名 命名者  Aphis spiraecola Patch

分類  カメムシ目(半翅目)Hemiptera、アブラムシ科Aphididae


形態  上述のとおり(詳細は文献2008)。
 リンゴには数種のアブラムシが寄生する。ユキヤナギアブラムシは体がつやのない緑色で白い粉や綿状物質に被われないこと、リンゴでは寄生葉が巻いたり縮れないことで識別できるようである。
 ナシではナシノアブラムシと大きさや色が似ている。どちらも若い枝や葉に寄生するが、葉での寄生部位はユキヤナギアブラムシは裏側、ナシノアブラムシは表側である。

寄主  秋~春はユキヤナギ、コデマリ、カンキツ。夏はバラ科(ボケ、ナシ、モモ、スモモ、ウメ、サクラ、リンゴ、サンザシ)、セリ、ミツバ、イタドリなど。

生態  ユキヤナギやコデマリなどの幹で卵で越冬する。卵は春に孵化し、樹液を吸って加害を始める。晩春には有翅虫が現れ、リンゴやウメなど夏の宿主に飛来し、そこで秋まで世代を繰り返す。晩秋にユキヤナギやコデマリに戻ってくる。天敵としてテントウムシ類、ヒラタアブ類がよくみられる。

分布  北海道・本州・四国・九州、世界各地。

被害と防除  ユキヤナギやコデマリでは寄生により新芽や枝先が縮れる程度で防除は普通必要とされない。
 バラ科果樹ではリンゴやニホンナシでは主要害虫とされ、果樹園では防除が行われている。


文 献
[1977] 奥野孝夫・田中寛・木村裕, 1977. 原色樹木病害虫図鑑. 保育社, 大阪. (形態、生態、防除の解説)
[1983] 森津孫四郎, 1983. 日本原色アブラムシ図鑑. 全国農村教育協会, 東京. (形態,生態の解説)
[1986] 山口昭・大竹昭郎(編), 1986. 果樹の病害虫, 診断と防除. 全国農村教育協会, 東京. (形態、生態、被害、防除)
[1996] 湯川淳一・桝田長(編), 1996. 日本原色虫えい図鑑. 全国農村教育協会, 東京.(生態の解説)
[1996] 日本植物協会(編), 2008. アブラムシ類の見分け方. 植物防疫, 特別増刊号, No.11: 1-103.

2001/2/8