森林研究本部へ

林業試験場

イボタロウムシ

イボタロウムシ

写真1 発生状況(枝の白色の部分、茶色の球状のものは雌成虫死骸)。帯広、ライラック、1994/2.

写真2 越冬中の雌成虫(小枝先端近くの赤茶色の楕円形のもの)(写真1の一部)。

被害の特徴
樹 種 モクセイ科(トネリコ、アオダモ、イボタ、ハシドイ、ライラックなど)。
部 位 枝。
時 期 1年中みられる。
状 態 枝がびっしりと白い粉状のもので厚く覆われる。晩秋、落葉後に発生に気づくことが多い。

和名  イボタロウムシ

学名   Ericerus pela

分類  カメムシ目(半翅目)Hemiptera、カタカイガラムシ科Coccidae


寄主  モクセイ科(トネリコ、アオダモ、イボタ、ハシドイ、ライラックなど)。

生態  年1回発生、成虫で越冬する。道内での生活環は調査されていない。本州では産卵は5月下旬頃、幼虫の孵化は6~7月頃である。

分布  北海道・本州・四国・九州・沖縄、朝鮮半島~ヨーロッパ。

被害・防除など  道内では文献1999の多発記録があるだけであるが、街路樹でしばしば発生する。樹勢の低下や枯死は報告されていない。防除は必要ない。気になるときは秋から冬の間に白くなった枝を切除する。
 白い部分は白ロウと呼ばれ、古くは工業用や薬用に用いられた。イボタロウムシの養殖が行われたこともあるという。


文 献
[1977] 奥野孝夫・田中寛・木村裕, 1977. 原色樹木病害虫図鑑. 364 pp. 保育社, 大阪. (形態、生態、防除)
[1978] 館和夫, 1978. 函館地方の緑化樹の害虫(III). 光珠内季報, 38: 10-15.
[1980] 河合省三, 1980. 日本原色カイガラムシ図鑑. 455 pp. 全国農村教育協会, 東京. (分類、形態、宿主)
[1999] 福山研二・原秀穂・林直孝, 1999. 1998年に北海道で発生した森林昆虫. 北方林業, 51: 267-270.(被害観察記録)

2009/3/31