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イヌガヤワタカイガラムシ

イヌガヤワタカイガラムシ

写真1 雌成虫と卵のかたまり。美唄、庭のオウゴンキャラ、1999/6/12。

被害の特徴
樹 種 イチイに多い。他にカヤ、イヌガヤ、マサキ、チャ、ヤブコウジ、マンリョウ。
部 位 葉。
時 期 6月に目立つ。
状 態 木が黒くなる。葉裏に白い綿やうす茶色の楕円形のものがつく。白い綿は卵のかたまりで、最大長約1cm。黄色の楕円形のものは幼虫や成虫、最大長約5mm。

和名  イヌガヤワタカイガラムシ

学名 命名者   Pulvinaria torreyae Takahashi

分類  カメムシ目(半翅目)Hemiptera、カタカイガラムシ科Coccidae


寄主  イチイ、カヤ、イヌガヤ、マサキ、チャ、ヤブコウジ、マンリョウ(文献1980)。

生態  発生は年1回;幼虫で越冬;春に成虫になり、葉裏に白い綿の中に卵をかためて産む(文献1977、1980)。札幌あたりでは成虫が6月に出現、卵は7月中下旬に孵化する(文献1996)。

分布  本州・四国(文献1980)。北海道では少なくとも1973年には発生が報告されているが(文献1974)、図鑑などでは分布域に含まれていない。庭木で発生し、森林では観察されていない。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害 北海道ではまれに庭など緑化樹のイチイで突発的に多発する。被害による樹勢の低下や枯死はこれまで記録されていない。


文 献
[1974] 山口博昭・小泉力, 1974. 昭和48年度に発生した森林害虫. 北方林業, 26: 97-99. (?最も古い北海道での発生記録)
[1977] 奥野孝夫・田中寛・木村裕, 1977. 原色樹木病害虫図鑑. 364 pp. 保育社, 大阪. (形態、生態、防除)
[1980] 河合省三, 1980. 日本原色カイガラムシ図鑑. 455 pp. 全国農村教育協会, 東京. (分類、形態、宿主)
[1996] 尾崎研一, 1996. イチイに新たな害虫イチイカタカイガラムシ. 森林保護, 256: 41-43. (生態、他のイチイのカイガラムシについても解説)

2009/3/31