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イチイカタカイガラムシ

イチイカタカイガラムシ

写真1 雌成虫、体長3mm。北見、庭のイチイ、2000/6/12。

被害の特徴
樹 種 イチイ。
部 位 若い枝や葉。
時 期 1年中みられる。
状 態 木が黒く汚れる。葉が黄変したり、枝の伸びが悪くなったりする。若い枝やその近くに虫が群生して固着する。
成熟した雌成虫はほぼ半球形、つやのある焦げ茶色、体長3mm。幼虫は楕円形、クリーム色。

 ヨーロッパ原産の外来種である。北海道では1990年代初頭に道東地域で発生が観察された(文献1991)。


和名  イチイカタカイガラムシ

学名 命名者   Parthenolecanium pomeranicum Kawecki

分類  カメムシ目(半翅目)Hemiptera、カタカイガラムシ科Coccidae


寄主  イチイ(文献1991、1996)。

生態  年1世代と考えられる;幼虫で越冬;札幌あたりでは雌成虫が6~7月に出現、体の下に卵の塊を産む;産卵数は1雌あたり200~400個;卵は7月頃に孵化し、孵化幼虫は新梢に移動・定着し、吸汁加害する(文献1996)。

分布  北海道(文献1991)、ヨーロッパ。
 1990年代中頃には道東、道北、道央地域で確認されている(文献1991、1996)。庭木で発生し、森林では観察されていない。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害  多発すると、葉が色あせたり、煤病の併発により木が黒ずんだりする。また、虫の死骸が枝上に長く残る。このように、見た目がかなり悪くなる。ごくまれではあるが、成長の悪い木はこのカイガラムシの寄生により枯れることがある。


文 献
[1991] 鳥倉英徳, 1991. 話題:十勝地方の緑化樹の新害虫. 防除所だより(十勝病害虫防除所・十勝農業試験場), 74: 150-151. (最初の発生記録、生態、形態)
[1996] 尾崎研一, 1996. イチイに新たな害虫イチイカタカイガラムシ. 森林保護, 256: 41-43. (生態、他のイチイに寄生するカイガラムシについても解説)

2010/3/31