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林業試験場

ニレハムシ

ニレハムシ

写真1 幼虫、体長11mm。新得、ノニレ。1991/7/12。

写真2 成虫、体長6mm。写真1を飼育。

写真3 幼虫。苫小牧、ハルニレ。2008/8/7。

写真4 葉の食害状況。写真3の個体群による。

被害の特徴
樹 種 ニレ属、ケヤキ。
部 位 葉。
時 期 春~秋。
状 態 葉が食べられる。幼虫や成虫がいる。幼虫は体長最大約10mm、黄色で黒い斑紋がある。成虫は体長約10mm、鞘翅は赤色、他は黒色で青色の光沢がある。成虫は体長7mm前後。
注) よく似た害虫にイタヤハムシとサンゴジュハムシがあるが、加害樹種が異なる。

和名  ニレハムシ

学名   Pyrrhalta maculicollis

分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、ハムシ科Chrysomelidae


寄主  主にニレ属やケヤキに寄生するが、ガマズミ、サンゴジュ、ハンノキ類にもつくといわれている。

生態  年1回発生。成虫で越冬。成虫は春に出現・産卵する。北海道では幼虫は7月にみられる。幼虫は地中で蛹化、10日ほどで成虫が羽化する。成虫は夏~初秋に葉を食害し、10月に越冬に入る。越冬場所は樹幹の粗皮下や落葉中である。

分布  北海道・本州・四国・九州、シベリア東部、朝鮮半島、中国北部。

被害  本州などではしばしば多発し、木を著しく衰弱させることがあるといわれている。これには本州などでは年2回発生することが関係するかもしれない。北海道でもニレ属に普通にみられるが、多発した記録はないようである(樹木害虫発生統計資料参照)。


文献
[1956] 中根猛彦監修, 1956. 原色日本昆虫図鑑甲虫編, 増補改訂版: 1-274, pls 1-68. 保育社, 大阪. (分類、形態、生態)
[1963] 中根猛彦ほか, 1963. 原色日本昆虫大図鑑Ⅱ(甲虫篇): 1-18, 1-443, pls 1-192. 北隆館, 東京.
[1977] 小林富士雄, 1977. 緑化樹木の病害虫(下)害虫とその防除. 290pp. 日本林業技術協会, 東京. (生態、防除)
[1977] 奥野孝夫ほか, 1977. 原色日本樹木病害虫図鑑: Ⅰ-Ⅷ, 1-365, pls 1-64. 保育社, 大阪. (生態、防除)
[1994] 木元新作・滝沢春雄, 1994. 日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説. 539pp. 東海大学出版会, 東京. (分類、形態、生態)
[1994] 奥田素男, 1994. ニレハムシ. 小林富士雄・竹谷昭彦(編集), 森林昆虫, 総論・各論: 358. 養賢堂, 東京. (形態、生態、防除)

2001/3/11