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林業試験場

テントウノミハムシ

テントウノミハムシ

写真1 幼虫の潜葉状況。新得、アオダモ、1991/7/1。

写真2 幼虫、体長5mm。写真1の拡大。

写真3 成虫、体長 3.5mm。写真2を飼育。

被害の特徴
樹 種 モクセイ科(ヤチダモ、アオダモ、イボタ、ハシドイなど)。
部 位 葉。
時 期 主に6~8月。
状 態 葉に薄茶色の部分があり、その部分は空洞で、内部に細かな虫糞や幼虫がみられる。幼虫は黄白色、体長最大6㎜。
葉にテントウムシ型の成虫がいる。体長3~4㎜。色彩は変異があり、全体黄色、全体黒色、黄色地に黒点といったタイプがある。刺激すると跳ねる。

和名  テントウノミハムシ

学名   Agropistes biplagiatus

分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、ハムシ科Chrysomelidae


寄主  モクセイ科(ヤチダモ、アオダモ、イボタ、ハシドイなど)。

生態  年1回発生。成虫越冬。成虫はヤチダモの新芽が開くころあらわれ、5~6月に産卵。幼虫は6~7月に葉を食害し、7月に土中で蛹になる。夏に成虫が羽化し、秋まで葉を食べて過ごす。10月に落葉中に潜って越冬する。

分布  北海道・本州・四国・九州、シベリア東部、朝鮮半島。

被害  北海道胆振鵡川町のヤチダモ造林地で1949~50年に大発生し、枯死木を発生させた記録がある(文献1951)。ただ、これ以外に被害記録はないようである。


文献
[1950] 内田登一, 1950. ヤチダモを害するArgopistes属のハムシに就いて. 昆虫, 18: 154-155. (生態)
[1951] 内田登一, 1951. BHC及びDDTによる2種の森林害虫の防除. 農薬と病虫, 5: 31-32. (殺虫剤による駆除)
[1951] 井上元則・篠原均, 1951. ヤチダモを害するテントウノミハムシについて. 日本林学会誌, 33: 247-250. (被害記録)
[1953] 井上元則, 1953. 林業害虫防除論, 中巻. 293pp. 地球出版, 東京. (形態や生態の概論)
[1963] 中根猛彦ほか, 1963. 原色日本昆虫大図鑑Ⅱ(甲虫篇): 1-18, 1-443, pls 1-192. 北隆館, 東京.
[1977] 小林富士雄, 1977. 緑化樹木の病害虫(下)害虫とその防除. 290pp. 日本林業技術協会, 東京.
[1990] 井上大成, 1990. テントウノミハムシArgopistes biplagiatus Motschulsky の千葉県における加害様相と発生経過. 日本応用動物昆虫学会誌, (生態)
[1990] 井上大成, 1990. テントウノミハムシ属(Argopistes)2種の樹上における生息習性の比較. 日本応用動物昆虫学会誌, 34: 217-226. (生態)
[1994] 木元新作・滝沢春雄, 1994. 日本産ハムシ類幼虫・成虫分類図説. 539pp. 東海大学出版会, 東京. (分類、形態、生態)

2001/3/11