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林業試験場

シラフヨツボシヒゲナガカミキリ

シラフヨツボシヒゲナガカミキリ
被害の特徴
樹 種 エゾマツ、アカエゾマツ、トドマツ。
部 位 倒木や衰弱木の幹、丸太の樹皮下および材。
生立木の枝先。
時 期 材の加害はほぼ通年。
枝先の加害は6~9月。主に山土場周辺で発生。
状 態 幹に穴が開き、そこから木くずがでる。 樹皮の内側や材内に穴や食べ跡があり、木くずや虫糞がつまり、幼虫がいる。穴は楕円形で長径最大10mm。
枝先が枯れる。枝先の樹皮が食べられる。カミキリムシ(成虫)がいる。
幼 虫 体長最大約70mm。淡い黄色。
成 虫 体長20~35㎜。触角は体より長い。体は黒色、鞘翅の先端が黄色(雄)、あるいは鞘翅に複雑な白い斑紋がある(雌)。

和名  シラフヨツボシヒゲナガカミキリ(文献1985・1994など)
別名 ヨツボシヒゲナガカミキリ(文献1943)、シラフヒゲナガカミキリ

学名 命名者   Monochamus urussovii (Fischer)
(文献1985・1994など)

分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、カミキリムシ科Cerambycidae


形態  上述のとおり(文献1994)。

寄主  エゾマツ、アカエゾマツ、トドマツ、カラマツ、グイマツ(文献1985・1994)。

生態  1~2年で1世代、幼虫で越冬(文献1985)。卵から成虫まで北海道では普通2年かかる;成虫は6~10月に出現するが、ピークは7月中旬から8月中旬、針葉樹の小枝の樹皮を食べる;雌成虫は立木や丸太の樹皮に長さ7~8㎜くらいのかみ傷を付け、そこに1個ずつ卵を産む;幼虫は最初は形成層付近を食べるが、成長すると材内に穿孔する;材表面から中心に向かい12cmほどまで穿孔する;樹皮近くの材中で蛹になる;羽化成虫は円い穴をあけ脱出する(文献1943・1994)。

分布  北海道、サハリン、シベリア、朝鮮半島、中国北部、ヨーロッパ北部(文献1994)。

被害と防除  新鮮な倒木や衰弱木に寄生することが多いが、健全木をも侵すことがある(文献1943)。風倒・山火・伐採跡地で多く発生し、周辺の林縁木、あるいは土場積みした丸太に被害が多い(文献1994)。材質を不良にする(文献1943)。成虫は小枝の樹皮を食べるため、それによりしばしば枝先が枯れる(文献1985)。
 成虫が多く出現する7~8月は伐採は行わない、あるいは、丸太を林内や山土場に置かないようにする;丸太を長く置くときは剥皮する(文献1994)。樹皮に産卵するため、樹皮のない材には寄生しない(文献1985)。


文献
[1943] 松下眞幸, 1943. 森林害蟲學. 410pp. 冨山房, 東京. (形態、生態、被害、防除、過去の文献;なお、上記引用部分の出典は確認していない)
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (北海道での生態、カラー写真)
[1994] 小泉力, 1994. シラフヨツボシヒゲナガカミキリ. 小林富士雄・竹谷昭彦(編集), 森林昆虫, 総論・各論: 179-180. 養賢堂, 東京. (形態、生態、防除)

2011/7/4