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林業試験場

コキクイムシ類

コキクイムシ類

写真1 成虫。幕別、アカエゾマツ苗木上、2006。

写真2 被害苗木。幕別、アカエゾマツ、2006。

写真3 被害トドマツのヤニだれ。余市町、1999/11/9。

被害の特徴
樹 種 トドマツ、アカエゾマツなどトウヒ属、マツ属、カラマツなど。
部 位 枝・幹。
時 期 春~夏。
状 態 枝や幹に穴が開く。穴は円形、直径約1mm。 穴から粉状の木くずやヤニがでる。 樹皮下に小さな甲虫や幼虫がいる。
幼 虫 体長最大約2mm。 体は白色、頭部は黄色。脚はない。
成 虫 体長約2mm。 灰色、羽化直後は黄色。

コキクイムシ類
分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、キクイムシ科Scolytidae
 数種いるが、被害は主に以下の2種による(文献1985など)。


和名  カラマツコキクイムシ

学名 命名者   Cryphalus laricis Niijima

形態  上記のとおり(詳細は文献1994参照)。

寄主  寄主はトドマツ・エゾマツ・マツ属(アカマツ・クロマツ・チョウセンゴヨウマツなど)・カラマツ・ダグラスファー(文献1994)。幹・枝の形成層付近を食べる。

生態  年1~2世代、大部分は成虫で越冬;5月下旬~6月に寄生木に穿孔する;年2世代のときは7月下旬~8月上旬に次世代成虫が出現し、繁殖する(文献1994)。

分布  北海道・本州、朝鮮半島。


和名  トドマツコキクイムシ
別名 トウヒノコキクイムシ

学名   Cryphalus piceae

分布  北海道。


被害観察地域(2種を含む) (樹木害虫発生統計資料に基づく)


被害  当年春植・前年秋植の造林地で降雨が少なく乾燥した日が続くと造林木が衰弱し、被害を受け枯死することがある(文献1994)。トドマツ・トウヒ属・カラマツで被害記録がある(樹木害虫発生統計資料参照)。また、1997~2000年に林齢19~38年生トドマツ人工林で異常な漏脂症状が発生し、部分的にコキクイムシ類の関与が示唆された(文献2004)。

防除  伐採跡地に繁殖源となる末木や枝などを放置しない:放置する場合でも乾燥を早めるなどして繁殖が不可能な状態にする;伐採跡地では生息数が一時的に増加していることがあるので、このような場合には造林をすぐに行わない(文献1994)。


文 献
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (生態、被害、カラー写真)
[1994] 小泉力, 1994. カラマツコキクイムシ. 小林富士雄・竹谷昭彦(編), 森林昆虫, 総論・各論: 184-185. 養賢堂, 東京. (形態、生態、防除)
[2004] 原秀穂・徳田佐和子・秋元正信, 2004. 1997~2000年に北海道のトドマツ人工林で発生した異常な漏脂症状や枯損について. 北海道林業試験場研究報告, 41: 15-25.

2011/7/17