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林業試験場

ヤチダモノナガキクイムシ

ヤチダモノナガキクイムシ
被害の特徴
樹 種 ヤチダモ、ブナなど広葉樹。
部 位 丸太の材内。
時 期 春から秋。
状 態 広葉樹丸太に径2mmほどの円い穴が開き、木くずがでる。
穴は材内に向かってまっすぐに10cmほど伸び、穴の壁は黒く変色する。 穴の中には茶色の甲虫や幼虫がみられる。
幼虫 体長最大約7mm。頭部は黄色、体は白い。脚がない。
成 虫 成虫は体長約6mm、円筒形で脚が扁平。

和名  ヤチダモノナガキクイムシ

学名 命名者  Crossotarsus niponicus Blandford

分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、ナガキクイムシ科Platypodidae


寄主  ヤチダモ、シナノキ、トチノキ、ホウノキ、ブナ、イタヤカエデ、クリ、ミズナラ、キハダ、ハリギリ(文献1985a)。

生態  生活史はよく分かっていない;主に伐採に寄生する;成虫は6月中旬~10月下旬までみられ、最盛期は7月中旬~8月上旬;成虫は伐倒後間もない新鮮な丸太を好むようで、材の中心に向かって10cmほどまっすぐに穿孔する;穴は途中で分岐する;卵は穴の上下(樹幹縦方向)に産みつけられ、孵化した幼虫は上下方向に穿孔する;幼虫は穴の内部で繁殖したアンブロシア菌を食べて生長する;菌により穴の壁は黒変する(文献1985a)。

分布  北海道・本州・四国・九州、台湾。

被害  丸太に穿孔し材質を低下させる(文献1985a)。また、造林地での被害記録が1例ある(文献1985b)。


文 献
[1985a] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (生態、被害、カラー写真)
[1985b] 小泉力(北海道森林昆虫談話会), 1985. 昭和59年度, 北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 37: 278-281.

2011/7/17