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林業試験場

アカタマゾウムシ

アカタマゾウムシ

写真1 幼虫、体長8mm。新得、ヤチダモ、1990/6/8。

写真2 幼虫、写真1と同じ個体。

写真3 成虫、体長5mm。新得、ヤチダモ、1991/7/3。

被害の特徴
樹 種 ヤチダモ。
部 位 葉や芽。
時 期 春~秋。
状 態 葉に穴が開く。葉が食べられる。葉が噛み切られて、落ちる。
幼虫や甲虫がいる。
幼 虫 体長最大約8mm。 黄白色、透明な粘液で被われる。脚はない。
成 虫 体長約5mm。 薄茶色。

和名  アカタマゾウムシ

学名 命名者   Stereonychus thoracicus Faust

分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、ゾウムシ科Curculionidae


寄主  ヤチダモの芽や葉(文献1985)。

生態  年2世代、蛹で越冬;春に成虫が羽化し、産卵;成虫は葉柄や新芽の基部を食べ、葉柄を噛み切ることがある;幼虫は自分の出す粘液で、葉の下側に付着し、葉脈を残して葉を食べる;幼虫は十分成長すると地面に降り、雑草や落葉の下で繭を作り蛹になる(文献1985)。

分布  北海道・本州・九州。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害など  大発生すると葉がなくなるほど激しく食害する。成虫が翌年開葉するはず新芽の基部を食害することにより、翌年の開葉が少なくなる(文献1985)。
 1970年代から1990年代にかけて防風林などのヤチダモで多発生が記録されているが、発生は1~2年で終わっている(文献1975など、樹木害虫発生統計資料)。しかし、食害による木の衰弱や枯れは記録がないようである。このため、普通、防除は必要ないと考えられる。


文 献
[1975]  山口博昭・小泉力, 1975. 昭和49年度に発生した森林害虫と最近10年間の発生状況. 北方林業, 27: 111-114.
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (生態、被害、カラー写真)
[2000] 原秀穂, 2000. 北海道におけるカンバ類とヤチダモの主要害虫および被害対策. 北海道林業試験場研究報告, 37: 67-74.

2011/7/8