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林業試験場

マツノシラホシゾウムシ

マツノシラホシゾウムシ
被害の特徴
樹 種 トドマツ、トウヒ属(エゾマツなど)、マツ属(アカマツ、クロマツなど)。
衰弱木(枯れかかった木など)や伐倒木。健全木は被害を受けない。
部 位 幹・枝の内樹皮・辺材表面。
時 期 一年中。
状 態 樹皮下の辺材表面付近に坑道があり、幼虫や蛹がいる。坑道は徐々に太くなり、細かな木くずが詰まる。
蛹は細長い木屑に囲まれた卵形の部屋(蛹室)の中にいる。
幼 虫 幼虫の体長は不明だか、成虫(6~8mm)と同程度と思われる。
ゾウムシ科の幼虫は一般に白色から黄色、頭部は褐色。無脚で、やや丸まる。

 シラホシゾウムシの仲間(Shirahoshizo属)には数種含まれているが、過去の文献では種が区別されていない (文献1994)。


分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、ゾウムシ科Curculionidae


形態  この仲間の幼虫は上唇内側の1対の上咽頭帯が後端で癒着しV字状になる;種の区別点は不明(文献1994)。成虫の特徴については文献1994を参照。


和名  マツノシラホシゾウムシ(文献1994)

学名 命名者   Shirahoshizo insidiosus (Roelofs)
(文献1994)

寄主  マツ類(文献1994)。

分布  北海道(?)以南、沖縄本島まで、韓国(文献1994)。


和名  ニセマツノシラホシゾウムシ(文献1994)

学名 命名者   Shirahoshizo rufescens (Roelofs)
(文献1994)

寄主  マツ類(文献1994)。

分布  日本各地、朝鮮半島、中国、台湾、タイ、インド(文献1994)。


和名  タマヌキクチカクシゾウムシ(文献1994)

学名 命名者   Shirahoshizo tamanukii (Kono)
(文献1994)

寄主  トドマツ、エゾマツ(文献1994)。

分布  北海道・本州(文献1994)。


マツノシラホシゾウムシ・ニセマツノシラホシゾウムシ
生態  成虫あるいは幼虫で越冬;越冬成虫は3月下旬から活動を開始し、越冬幼虫は5月中旬から6月上旬に羽化する;成虫の活動は10月下旬まで;餌木があれば年数回の発生が可能;卵は粗皮の間に1個ずつ産まれる;幼虫は靭皮部を食べて成長する(文献1994)。
 天敵としてサシガメ類、カッコウムシの仲間、オオコクヌスト、寄生蜂などがある(詳細は文献1994)。

被害など  造林地の幼壮木が大きな被害を受けることがある(文献1943)という文献がある。しかし、樹脂の流出がほとんど停止した衰弱木か伐倒木に産卵する二次害虫であり、健全木を加害することはないので、防除は不要である(文献1994)。


文 献
[1943] 松下眞幸, 1943. 森林害蟲學. 410pp. 冨山房, 東京. (形態、生態、被害、防除、過去の文献;なお、上記引用部分の出典は確認していない)
[1994] 森本桂, 1994. シラホシゾウムシ属. 小林富士雄・竹谷昭彦(編集), 森林昆虫, 総論・各論: 156-159. 養賢堂, 東京. (形態、生態、防除)

20113/31