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林業試験場

トドキボシゾウムシ

トドキボシゾウムシ
被害の特徴
樹 種 トドマツ、モミ、エゾマツ。
部 位 幹・枝の樹皮下(内樹皮や辺材表面)。
時 期 一年中。
状 態 木が枯れる。
樹皮下の辺材表面付近に坑道があり、幼虫や蛹がいる。
蛹は細長い木屑に囲まれた卵形の部屋(蛹室)の中にいる。
幼 虫 体長最大約12mm。乳白色、頭部は黄褐色。無脚で、やや丸まる。
備 考 マツにはよく似たマツキボシゾウムシが発生する。

和名  トドキボシゾウムシ

学名 命名者   Pissodes cembrae Motschulsky

分類  コウチュウ目(鞘翅目)Coleoptera、ゾウムシ科Curculionidae


形態  幼虫は上述のとおり(文献1943)。近似種との幼虫・成虫の区別点は文献1994に記述がある。

寄主  トドマツ・モミ・エゾマツ(文献1943、1994)。

生態  成虫は6月頃から発生;雌は樹皮に口で穴をあけ、この中に1~数個の卵を産む;孵化した幼虫は内樹皮に食い入り、辺材部に沿って不規則な穿孔を作る;坑道内には虫糞が充満する;11月頃に老熟し、木くずで繭状の部屋を作り、その中で越冬する;翌春蛹化し、次いで羽化する(文献1943)。

分布  北海道・本州、サハリン、シベリア(文献1943、1994b)。

被害  多くは中年以上の衰弱木・病木、新鮮な伐採木に寄生し、二次的に被害を及ぼすが、健全木を加害することもあある;加害により葉が変色し、秋までに枯死するものが多い;幼少の木には被害がない(文献1943)。

防除  被害木は冬季中に伐採・利用する;キツツキ類は幼虫を好んで捕食するため、保護する必要がある(文献1943)。

文 献
[1943] 松下眞幸, 1943. 森林害蟲學. 410pp. 冨山房, 東京. (形態、生態、被害、防除、過去の文献;なお、上記引用部分の出典は確認していない)
[1994] 森本桂, 1994. 日本産キボシゾウムシ属の検索表. 小林富士雄・竹谷昭彦(編集), 森林昆虫, 総論・各論: 159-160. 養賢堂, 東京. (形態、宿主)

2011/3/31