法人本部

道総研セミナー
「センサで見守る健康と生活」

道総研が日々取り組んでいる研究の中から、今回は「健康とIT」をテーマに、工業試験場で行っている研究をご紹介し、約50名の方々にご参加いただきました。

  • 日時 令和元年6月23日(日) 15:30~16:30
  • 場所 紀伊國屋書店札幌本店 1階 インナーガーデン(札幌市中央区北5条西5-7sapporo55)
  • 主催 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構
講演の様子 

こんなお話をしました

講師:道総研 産業技術研究本部 工業試験場 製品技術部 主査 中島 康博

「センサで見守る健康と生活」

  最近、「見守り」という言葉をよく耳にしますが、皆さんはその正確な意味をご存じでしょうか。日本看護科学学会によれば、見守りとは、

「必要な介助、支援ができるような体制を整えて、意図的に対象の行為や様子を観察すること」

と、定義されています。つまり、何かあればいつでも駆け付けられるように見ている、ということです。しかし、これを24時間一年中行うことは大変です。「誰を、何を、いつ、どこで、なぜ」見守りたいといっても、現代のように夫婦共働きが当たり前になってきた時代に、家族から労働力をねん出するのは至難の業です。まして、高齢者の6割は夫婦のみか、単身で暮らしています。「どのように」見守るか、その方法、手段が大事になってくるのです。

  幸い、現代はスマートフォンの普及とともに、センサ全盛の時代に入ってきました。スマートフォンに組み込まれたことで、無線式で小型のセンサが安く大量に手に入るようになりました。これにより、24時間自動で見守り、必要に応じて保護者に知らせることが可能になりました。IoT(Internet of Things; モノのインターネット)と呼ばれるセンサネットワークの市場規模は2020年に1兆円を超え、その2割、2千億円強をセキュリティ・見守り・ヘルスケアが占めると予測されています。それだけ、市場では見守りにセンサが有効とみなされているのです。私たちもその中で、様々な見守り・健康支援技術を開発しています。

  具体的な例を挙げますと、この図は私たちが5年前から実験しているIoTを使った見守り・健康支援システムの概略ですが、温度、湿度、気圧、ドアの開閉、明るさ、室内の人の検知を行い、自治体や高齢者用サービス団体が見守り、異常を検出できるような仕組みを構築しています。グラフを見ればわかるとおり、行動を解析するだけでもその人の活動度がよくわかります。

「健康・見守りシステム」の概略図
▲「健康・見守りシステム」の概略図

「健康・見守りシステム」によるセンサ動作の例
▲「健康・見守りシステム」によるセンサ動作の例

  また、行動だけでなく様々な場所での健康状態を検出するセンサも開発しています。例えば下の図は、入浴者の呼吸と心拍を検出できる浴槽です。呼吸と心拍によって発生する体の振動を、浴槽脚のセンサで検出できます。ただ、このままだとお湯の揺れや体の動きなど様々なノイズが入ってきますので、それを私たちが培ってきたフィルタリング技術(信号を選り分ける技術)で呼吸と心拍の信号を取り出しています。
入浴中の呼吸と心拍を検知できる浴槽
▲入浴中の呼吸と心拍を検知できる浴槽

  このように、様々な見守り・健康支援技術を開発していますが、これらはすべて弱い人を守り、家族の健康と幸せを守るために行っています。センサは、冷たい機械ではなく、あなたの目や耳の延長です。積極的に活用してあなたの大事な人を見守りましょう。

講演資料

PDFファイル

講演資料のPDF

案内チラシ

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開催案内チラシ