法人本部

道総研セミナー
ユネスコ無形文化遺産「和食」に欠かせないコンブを増やそう、食べよう

  道総研が日々取り組んでいる研究の中から、今回は「コンブ」をテーマに釧路水産試験場で行っている研究をご紹介し、約70名の方々にご参加いただきました。

  • 日時 平成29年10月21日(土) 14:30~15:30
  • 場所 紀伊國屋書店札幌本店 1階 インナーガーデン(札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55)
  • 主催 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構
講演の様子

こんなお話をしました

講師: 道総研 水産研究本部 釧路水産試験場
調査研究部 管理増殖グループ 研究主任 合田 浩朗
加工利用部 加工利用グループ 主任主査 福士 暁彦

講師が話している

「コンブを増やそう!」

・北海道沿岸にはマコンブやリシリコンブ、ミツイシコンブやナガコンブなど多くの種類のコンブが生育しています。コンブの葉状部(私たちが食べるところ)は光合成と栄養塩吸収を担っています。
また、コンブは冬~春に急激に成長しますが、夏には成長が停滞し、先端から枯れて短くなっていきます。


・北海道ではコンブを増やす取り組み(増殖や養殖)が各地で行われています。コンブの増殖方法の一つとして「雑海藻駆除」があります。昔からコンブの生活の邪魔をする海藻(雑海藻)が流氷接岸することで駆除されると、翌年にコンブが増えることがわかっています。
近年は、雑海藻を駆除してくれる流氷接岸の頻度が減少しているため、コンブ漁場に雑海藻が増え、コンブの生産量が減少している地域もあります。そのような地域では人為的に雑海藻を駆除し、コンブを計画的に増やす取組が行われています。


・道総研ではコンブを増やすための研究のひとつとして、雑海藻駆除に関する調査研究を行っています。実際に雑海藻駆除をしてコンブが増えるプロセスを確認したり、コンブの生活環境を観測したり、室内で培養実験を行うなど、雑海藻駆除をしてコンブを増やすために、様々なアプローチで調査研究に取り組んでいます。


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「コンブを食べよう!」

・コンブの消費は、安価で手軽な調味料の普及などにより全国的に低迷しており、その対策が求められています。このため、道総研では春先の早採りコンブに着目し、コンブを微細化させたペーストからドレッシングなど新たな商品化の取組を民間と共同で実施するなど、消費回復に向けた取組を行っています。


・和食には欠かせないコンブは総菜系や出汁系に大別され、用途に応じて幅広く活用されています。特にコンブ出汁は、うま味成分であるグルタミン酸を多く含んでおり、昔から重宝されて来ましたが、最近、この美味しさの秘密としてグルタミン酸はもちろん、糖類の仲間で甘味成分であるマンニトールやミネラル成分であるカリウムの存在、そしてそれらの比率も重要であることが分かってきました。
また、コンブには成長維持に重要なミネラルが豊富で、糖類や脂質の吸収を抑制する食物繊維が約30%もあるなど、機能性に富んだ食品と言えるかと思います。


・一方、コンブを生産する現場では、高齢化や重労働により後継者が減少しており、生産力が低下しています。このため、道総研では軽労化と省エネを特徴とする新たな乾燥システムの開発を行ってきたところです。今後は、その技術の普及により生産現場への若者の回帰を促し、生産力のアップに繋がればと思います。そして、この奥深い天然の健康食品でもあるコンブをもっと活用し、日常生活に取り込んで欲しいと思います。


講演資料

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講演資料PDF


案内チラシ

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案内チラシ表面