法人本部

第32話 道産カラマツ材を使って住宅を建てる

道産カラマツ材を使って住宅を建てる(H27.12)

道総研林産試験場    清野 新一   

カラマツは、成長が早く北海道の気候風土に適した樹木として明治時代から植林が始まりました。特に戦後は大量に植えられたため、現在では北海道を代表する樹木として利用可能な収穫期を迎えています。もともとカラマツは、炭鉱の坑道を支える支柱・枠材(坑木)として大量に使用され、日本の近代化を陰で支える役割を果たしてきましたが、炭鉱の閉山とともにその需要はなくなりました。現在、北海道の住宅は主に外国産の木材で建てられていますが、こうした事情からカラマツなどの道産材で建てられるようにしていくことが望まれています。しかし、カラマツを建築用材として利用するためには「乾燥中に割れが生じやすいこと」、「乾燥が不十分だと住宅を建ててから柱や梁などの部材にねじれが生じやすいこと」が大きな課題となっていました。こうしたことから、道総研ではカラマツの欠点を克服して、建築用材へ利用するための試験研究に取り組みました。

研究の結果、乾燥の初期段階で高い温度で乾燥すると、割れが抑えられることが分かりました。また、木材中に含まれる水分の割合を低めに設定し十分乾燥することで、住宅を建ててからねじれが生じにくいことも分かりました。このような乾燥技術を用いることで、従来難しいと思われたカラマツから高品質な柱材を製造することが可能となりました。そして、研究の成果として開発した、カラマツの欠点を克服し北海道の住宅に対応したカラマツ柱材を生産するための新たな乾燥技術を北海道木材産業協同組合連合会が「コアドライ」として商標登録しました。

コアドライは、その品質・性能を保証する生産要領に従って生産され、製品には認証シールが貼られます。平成27年現在、道内でおよそ年間200棟分のコアドライ柱材が生産されています。今のところコアドライの対象はカラマツ柱材のみですが、梁材の製品化も急ピッチで進んでいます。柱材と梁材がそろうことで、住宅建築の基本となる骨組みが道産カラマツ材でできるようになり、さらなる需要増が期待されます。カラマツは本州のスギのように赤みで木目のはっきりした木材です。あえてカラマツの木肌を見せることで、あたたかみのある室内を演出する、北海道らしい木造住宅の提案も行っています。



道産カラマツによる高品質な柱材の製造技術の開発について(PDFファイル)

コアドライ生産事業者認定制度について(ウッドプラザ北海道)

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