法人本部

第7話 住宅の断熱

住宅の断熱 (H25.10)


道総研北方建築総合研究所 高倉 政寛(たかくら まさひろ)

  一雨ごとに気温が低下し、部屋の暖かさや暖房費のことが気になるシ-ズンになってきました。エネルギ-価格が上昇している中、日頃の省エネにも関わる住宅の断熱技術ですが、断熱がもたらす効果について、少し違った切り口でご紹介したいと思います。

2012年の11月末、登別・室蘭を中心に大規模な停電が発生しました。湿った雪が電線に着雪しやすい初冬と春先は、停電に注意が必要な時期で、過去に稚内大停電(1972年12月)、新潟大停電(2005年12月)が発生しています。停電すると、多くの暖房装置は動きませんので、住宅の室温は断熱レベルで大きく変わることになります。

まず、1968(昭和43)年築の住宅で冬場に暖房を停止させたときの室温を実測した結果をみると、20℃あった室温は、暖房停止の12時間後には、0℃を下回る温度になっています。室温の低さは容易に想像がつくと思いますが、水道管の凍結が心配な温度です。停電がないことに越したことはありませんが、リフォ-ムせず住まい続けるのであれば、電源を必要としないスト-ブを用意しておくなど、日頃からの準備は必要でしょう。
次に、最近の断熱住宅(北方型住宅ECO)で温度低下の状況をみると、次の通りです。外気温は先ほどの例と異なりますが、25℃あった室温は12時間後でも15℃以上をキ-プしています。とりあえず、最近の住宅は冬場に停電しても一晩は落ち着いて対応することができそうです。

このように、新旧の住宅を比較すると、古い住宅は、やはりダメだという諦めの気持ちになりがちですが、道総研北方建築総合研究所では、住宅の断熱回収技術の研究を進めており、改修の要点がわかるパンフレットやソフトウェアをホ-ムペ-ジで公開しています。いずれも、工事の概算費用がわかるようになっていますので、詳しくはこれらの資料をご覧いただきたいと思います。

断熱リフォ-ムを行った何人かにヒアリングしたこともありますが、総じて「我慢せずにもっと早く断熱リフォ-ムしておけばよかった」「部屋が暖かくなったことで、省エネを意識するようになった」という感想を頂戴します。特に、外装を張り替える際は、断熱を見直すタイミングです。住宅を修繕する際、日頃の省エネに加えて、停電や災害時の安心のためにも、住宅の断熱を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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