第35回 ゆめぴりか

「ゆめぴりか」おいしさの秘密
~でんぷんでお米を科学する~

2013年6月21日
農業研究本部 上川農業試験場五十嵐 俊成(いがらし としなり)

こんなお話をしました

お米.JPG 

北海道は近年、品種開発や栽培技術が向上したことにより、平成23年から「ななつぼし」「ゆめぴりか」が米の食味ランキングにおいて2年連続で特Aの評価を頂いております。今後、ますます多様化する米のニーズに対応するため、道総研では品種改良と栽培技術、品質研究に努めています。総務省の家計調査によると、米の約4割が外食・中食(弁当など)で消費されています。さらに消費を拡大するためには、今後需要が伸びる中食などに求められる「冷めても美味しい」お米を作らなくてはなりません。
一般に、でんぷん質の食品は、水を加え加熱調理することで、糊状に変化させて食べます。この糊状態となることを糊化 (こか) と呼びます。しかし、糊化したでんぷんは冷めると元の状態に戻ろうとする性質があります。これを老化と呼んでいます。この性質が強いと、付着性や粘りが弱く、食べたときの食感が悪いご飯となります。

そこで、「冷めても美味しい米」を創造するため、お米の主成分であるでんぷんの分子構造に着目しました。でんぷんはアミロースとアミロペクチンという2つの分子から出来ています。
老化しやすいお米は、アミロースの含有率が高く、アミロペクチン超長鎖(アミロペクチンの外部鎖にあるアミロース様の長い鎖)の割合が多い、ということがわかっています。
これは、アミロースやアミロペクチン超長鎖は冷めて水が離れると再び水素結合で絡みあった状態に戻りやすいためです。
北海道は登熟温度 (お米が実る時期の温度) が低く、アミロース含有率が高くなることが知られていましたが、アミロペクチン超長鎖も登熟温度が低いほど多いことがわかりました。つまり、北海道のように登熟温度が低い地域では老化性に関わる成分が多くなりやすいと言えます。

しかし、近年育成された「ゆめぴりか」などの主要な良食味品種は、アミロース含有率が適度に低いだけでなく、アミロペクチン短鎖(アミロペクチンのクラスター(集合体)を構成する短い鎖)の割合が多いことから、老化しにくいということがわかりました。
これが「ゆめぴりか」の美味しさの秘密です。
このことから、でんぷんの鎖長分布を捉えることは非常に重要で有益な情報となりますが、選抜指標とするには分析の手間が多く困難でした。しかし、ヨウ素でんぷん反応に着目した、マルチスペクトルオートアナライザーが開発されたことにより、簡単に調べることができるようになりました。今後、この装置を活用してさらに「冷めても美味しい米」の選抜が進むことが期待されています。
なお、道総研では科学的な見地から導き出した「ゆめぴりか」の食味管理目標を定めており、これに基づいた美味しい「ゆめぴりか」を安定して供給できる生産・流通体制を構築しています。

 

質問にお答えします

 

質    問

回    答

今後、どのようなタイムスパンでどのような米が育成・開発されるでしょうか?

交配から品種になるまでにはおよそ10年かかります。毎年有望系統を試験して成績が優秀であれば新品種となりますが何年後とはっきりしたことは言えません。                                    多様なニーズに対応するため、業務米、一般家庭用良食味米、もち米、酒米などが育成されています。


はなぶさ、彩などのダル系のお米は北海道米として戦略的なものと考えられますが、これらの取組、位置付けについてどう考えていますか。

※ダル系・・・dull(曇り胚乳)遺伝子の利用により低アミロース化したお米


粘りのある米は重要なアイテムです。保水性が高く老化しにくいため、再加熱による再現性の高い米として、また、ブレンド用など多様な用途に活用される可能性があります。
 

アミロースの分析機械はどのように発展したのか。

 

フィリピンの国際稲研究所フリアーノが1971年に考案した方法を水稲育種選抜用に稲津が1982年に改良して確立しました。元々は医療用の分析機械を応用したものです。機械メーカーもテクニコンからブランルーベ、さらにBLテックへ変遷しています。


精米後のお米は何日位で食べきるとおいしいのでしょうか?

玄米で保存した場合は何日位おいしい状態が保てるのでしょうか?


精米後できるだけ早く食べるのがおすすめです。貯蔵条件により異なりますが、玄米を空気を遮断した密閉容器に入れて冷蔵すれば、6ヶ月は十分美味しく頂けます。


ゆめぴりかのお米は、蒔いてから収穫までの期間はどのくらいですか。

また、収穫はいつ頃になりますか。


播種(はしゅ)してから田植えまで30日~40日、さらに、田植え後120日程度で収穫できます。平年では9月中旬頃収穫されます。

 

さらに詳しく知りたい方は・・・

動画(北海道公式チャンネル)

案内チラシ


表[米].jpg裏[米].jpg 

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