第40回 鮭節

北海道から全国へ発信「鮭節」
~逆転の発想から生まれた鮭節~

 
2014年4月18日
産業技術研究本部 食品加工研究センター熊林 義晃(くまばやし よしてる)

こんなお話をしました

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「鮭節」を知っていますか。鮭節は日本の伝統的調味料であるカツオ節の鮭バージョンで、北海道産のサケを原料にして北海道内の数カ所で製造されています。最近では削り節だけでなく、ダシとしてラーメンや茶碗蒸しなどの料理、ふりかけや佃煮などの食品にも使用されるようになり、用途が少しずつ広がってきています。今回は鮭節開発の経緯と風味の特性についてご紹介します。

カツオ節などの節類は原料の油分が最終製品の品質を左右します。カツオ節にするための原料カツオの油分は少ないほど好ましいとされ、油分の多いカツオ節は「だし汁が油臭い」「品質が悪くなりやすい」などから敬遠されています。サケは産卵が近づくと筋肉中の油分がイクラや白子に移行するために筋肉中の油分は減少します。油分の減少は普通であれば風味の悪化や価格の下落につながりますが、鮭節製造という目的では油分の減少はむしろ好都合なのです。有効活用が求められている採卵後のサケが鮭節の原料として最適であり、まさに逆転の発想からできたエコロジーな食品なのです。

鮭節にはカツオ節や鯖節などとは異なる特長があります。鮭節には他の天然調味料と比較して風味に関連する遊離アミノ酸が2倍以上多く含まれており、例えばうま味を感じるグルタミン酸やアスパラギン酸はカツオ節と比較して3倍以上、ホタテやエビの甘い風味のもととなるグリシンやアラニンは2倍以上含まれています。そのため、鮭節を口に入れた瞬間には「甘味」「うま味」をグッと感じることができます。鮭節は卵製品や大豆製品との相性が良いと言われており、このほかにもまだまだ多くの使い方が見いだされると思われます。

カツオ節は日本古来の伝統食品であり、いわば料理や食品の土台となる調味料です。それ故にオール北海道産の料理や加工食品を作ることは困難でした。鮭節の登場によりオール北海道産のソバや明太子を作ることが可能となり、飲食店や加工食品会社は鮭節の利用で、より北海道らしさをアピールできます。また、鮭節は既存の天然調味料とは異なる風味を持っているため、商品や製品に新たな風味を加えることができ、新製品や新たな料理メニューの開発にもつなげることができます。

カツオ節は300年の歴史があると言われております。これに対して鮭節は生まれたばかりですが、今後も研究開発と普及活動を続けて、北海道の新たな定番食材として認められるようにしたいと思います。

質問にお答えします

 

質    問

回    答

鮭節の原料はブナサケが適しているということですが、どうしてですか。
春鮭鱒(トキシラズ)、秋鮭(銀毛)、ブナ毛(Aブナ、Bブナ、…)、ホッチャレなど、シロサケには色んな種類がありますが、比較したことはありますか。
油分が落ちているサケから鮭節を作った場合、油くさくなく、ダシ汁が透明になる傾向があります。カツオ節も同様に油分が少ないほうが上質とされています。
ご質問にあるような各種の鮭についても、鮭節を試作しており、油分の違いにより、風味に違いが出てくることがわかっています。比較的油分の多いブナサケから作った鮭節は、ラーメン用のだし取りなどの用途が考えられます。
鮭節の製造方法は一つだけではないと伺っています。製造方法の違いについて教えてください。 今回のセミナーでご紹介した焙乾(ばいかん)する際に機械式の燻煙庫を使用する「急造庫方式」のほかに、マキを燃やして、その上にサケをセイロに入れて焙乾する「手火山(てびやま)方式」があります。また、焙乾方法ではありませんが、北海道独自の製法として酵素利用によりうま味を増強する製法もあります。
品質改善の取組について教えてください。

 

カツオ節を始めとする節類には規格が定められており、削ったときに発生する粉の量やエキス成分の量、さらに取引の際には形状なども判断基準になります。
鮭節にはまだこのような規格がありませんが、カツオ節に準じて規格を定めていく予定です。
食品加工研究センターに技術相談ができることを初めて知りました。相談の費用はどれぐらいかかりますか。 食品加工研究センターでは、食品製造業の皆様にご利用していただけるよう、技術相談をはじめ、弊センターに設置されている加工機械、分析機器の利用など、各種の支援活動を行っています。技術相談は、技術的な問題の解決を目的に様々な内容について、無償で実施していますので、気軽にご相談ください。
鮭を煙で燻すのが1回ではいけないのはなぜでしょうか。何度も燻し、冷ます間に何が起きるのでしょうか。 1回の燻しで連続的に乾燥すると表面だけが乾く現象「上がわき」が起きるため、内部の乾燥が困難になります。燻し作業に間隔をあけること(「あん蒸」と言います)で、内部の水分が表面に移行する時間をとることができるため、水分の分布が均一化します。これを繰り返すことで、全体を一様に乾燥させることができます。

 

さらに詳しく知りたい方は・・・

▼連携協議体 鮭節パンフレット/鮭節料理レシピ集
 
▼ノーステック財団 鮭節を使ったレシピをご紹介します
 
▼道総研食品加工研究センターホームページ
 
  • 案内ちらし
案内ちらし.pdf

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