第45回 代用魚

代用魚 ~本物? 偽物? 代用魚の世界~

 
2014年9月19日
水産研究本部 網走水産試験場 佐々木 潤

こんなお話をしました

  代用魚とは日本で古くから食用とされてきた魚介類の代用として、利用されているもので、従来は国内で流通・消費されていなかった外国産や深海産の魚介類のことです。

  従来の魚と味が似ていても外見が異なるものが多く、切り身、寿司ネタ、加工食品(惣菜、缶詰)として使用されることが多いのが特徴です。代用魚はざっと数えて190種くらいが知られています。外国産のものが多く、そのままの姿で流通するものは少ないのが特徴です。 

  ○そのままの姿で流通するもの
   カラフトシシャモ (シシャモの代用) など。

  ○主に切り身で流通するもの
     ギンダラ(ムツ・タラの代用)など。

  ○缶詰で流通するもの
     アフリカオオエンコウガニ (ズワイガニの代用) など。

  我が国では、戦後から1973年までは、漁獲の増加期といわれ、公海自由の原則のもと、海外の未開拓漁場へ日本の漁船が出かけ、これまでなじみのない魚介類を漁獲するようになりました。これらの魚介類は開発魚と呼ばれ、そのうち日本人のなじみのある高級魚の代用となるものが流通するようになりました。

  1973年~1989年までは、漁獲の高水準期といわれ、一時は日本が漁獲量で世界一となりましたが、この期間に公海自由の原則は崩壊し、日本の漁船が海外で漁獲することが困難になっていきました。実際には、漁獲の増加はマイワシによるもので、マイワシを除けば1973年から漁獲量は急激な減少期を迎えました。同時期から日本のみならず、世界で養殖業が盛んになり、エビ類やサケ・マス類を中心に外国産種が代用魚として輸入されるようになりました。

  1988年以降は、排他的経済水域が世界的に認知され、大衆魚であるマイワシも急激に減少したため、資源枯渇への対策という意味と、経済のグルーバル化、物流の変化、そして日本人の嗜好の変化から、漁業資源の安定供給やコスト削減を目的として、代用魚が流通しています。

  近年マスコミで報道されている食品偽装には、 産地偽装、原材料偽装、メニュー偽装の区別があります。代用魚関連で特に問題になったのは、 原材料偽装 (アブラガニ)とメニュー偽装 (エビ類) でした。 現在は、 「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律 (JAS法) が改正され、これらの偽装はされにくくなっています。

  もともとは、代用魚として流通していたカラフトシシャモやギンダラ、エビ類といったものは、現在では、代用魚の方が主流となっています。 古くから流通しているギンダラに至っては、その資源の枯渇から、その代用魚のマゼランアイナメが輸入されているほどです。

  大衆魚と呼ばれるものが消えつつある日本では、輸入魚の割合が増加しています。結局は、その味になじんでしまえば、代用魚としての抵抗はなくなるのかも知れません。

  代用魚といわれる魚介類は、海外で大量に安価に取引される場合が多いため、わが国周辺の魚介類よりも乱獲されやすい傾向があります。現代社会では、水産資源も各国できびしく管理されるようになり、代用魚といえども入手困難となったものが多数あることから、大事に美味しく食していただきたいと思います。 

さらに詳しく知りたい方は・・・


ページのトップへ