お湯でイネの種子消毒
<農薬を使わない,水稲の温湯種子消毒法>

   
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 イネの種籾(たねもみ)は,病気の原因となるカビや細菌に汚染されていることがあるので,種まきの前に種子を消毒します。普通は農薬を使いますが,種籾をお湯に浸たす「温湯種子消毒」という方法で,農薬を使わずに種子消毒ができます。 温湯種子消毒の作業順序は図の通りで,十分に乾燥した種籾を袋詰めし,60℃10分間または58℃15分間,お湯に浸たします。その後は直ちに冷水に入れ種籾の温度を下げ,乾かさずに浸種,催芽,播種を行います。

 温湯種子消毒により,ばか苗病,いもち病,苗立枯細菌病に対して,農薬を使った場合とほぼ同じか,それを上回る防除効果が期待できます。残念ながら,褐条病に対しては効果が低いのですが,褐条病の発病は催芽条件に大きく影響されるため,ほとんどの場合はこの部分の対策を徹底することで防除できます。

 お湯へ浸す時は,温度と時間を正確に守る必要があります。実際には,数キロの重さの種籾を袋詰めして一度に浸すので,袋の内部まで均一な温度を保てなければ,病害の防除効果が不十分になってしまいます。逆に,温度が高すぎたり時間が長すぎたりすると,種籾の発芽率が低下することがあります。そこで,「湯芽工房(ゆめこうぼう)」という温湯消毒機(写真参照)を使うと,袋の内部まで速やかに温度を上昇させ,一定時間保つことができます。現在,一回に40㎏の種籾を処理できるシステムもあり,温湯種子消毒の普及が期待されます。
 

図 温湯種子消毒の作業順序
 

写真1 湯芽工房(YS-200HC)本体 (原寸34KB)
 

写真2 温湯浸漬処理の様子 (原寸33KB)
 
画像をクリックすると原寸の画像が見られます。
 

○病気の原因となるカビや細菌: 種子についている病原菌によって伝播される病気を種子伝染性病害といい,北海道で問題になるイネの種子伝染性病害は,ばか苗病,いもち病,苗立枯細菌病,褐条病の4つです。

○浸種,催芽,播種: イネの種籾は,11~12℃の水に7日前後浸漬して十分吸水させ(浸種),その後32℃の温度をかけて発芽・発根を促し(催芽),2mm程度出芽した状態にしてから,育苗箱に播種します。そうすることで生育の揃った良い苗が出来ます。

○褐条病の発病は催芽条件に大きく影響される: 催芽時の32℃という温度はイネの発芽に最適な温度ですが,褐条病菌の生育にも最適で,催芽条件が褐条病の発病に大きく影響します。催芽時に水を循環させない,浸種を十分に行って催芽時間を短くする,といった対策が重要です。
 
 
 
関連リンク  平成15年成績概要書
 
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