ヨーネ病


○ヨーネ病とは? 

ヨーネ病(パラ結核)はヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis)の経口感染によっておこる反芻獣の慢性肉芽腫性腸炎で、発症すると下痢、極端な体重減少、乳量の低下を示します。
ヨーネ病は
1)予防・治療及び完全診断(全感染動物を摘発する意味)が困難であること、
2)発病動物はもとより不顕性感染動物の生産性・経済価値に大きな損失をもたらすこと、
3)糞便中に大量に排出されるヨーネ菌の外界環境生残性が強く、消毒・殺菌も困難であること、
4)清浄化に要する経費・ 期間が農場経営に大負担を強いること、などから1971年に家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定されています。

 
さらに 1997年4月1日以降ヨーネ病は撲滅対象疾病の1つに指定されました。搾乳牛、種雄牛、それらと同一施設内で飼育している牛、その他のうち都道府県知事の指定する牛については少なくとも5年ごとにヨーネ病検査が義務づけられ、対象の家畜の種類も牛、山羊、綿羊に加えて、水牛、鹿が追加されました。



○ヨーネ病の発生状況

  発生状況は年々増加傾向にあり、国内では2011年は615頭(331戸)、2012年405頭(211戸)と牛における最も発生が多い法定家畜伝染病となっています。特に北海道では発生件数の約半数を占めていて、早急な対策が求められています。
ヨーネ菌は抗生物質耐性が強く、細胞内でのみ増殖し、発症までの潜伏期間が長いなどの特徴から予防・診断・治療が困難で、発生した農場では清浄化までに大変な負担が強いられます。

したがって、複数の検査法に基づく感染家畜の早期摘発と淘汰がヨーネ病における最善のまん延防止策となります。


○ヨーネ病の検査方法


 ヨーネ病の検査には従来の細菌検査(分離培養法)、免疫学的検査
(ELISA法、ヨーニン反応)に加え、2013年からはヨーネ菌の遺伝子検査(リアルタイムPCR法によって糞便からヨーネ菌DNAを検出する)が法定検査法(家畜伝染病予防法で認められている検査方法)として取り入れられることとなりました。


分離培養法: 糞便の希釈液を固形の選択培地で培養する方法です。糞便がヨーネ病の主要な感染源であること、糞便中への排菌が発病の1年以上前から開始すること、また排菌は血清反応陽転に先行すること から、糞便培養法は防疫推進をはかるうえで最も有効で信頼のおける診断法です。しかし、培養期間に6~15週も要することが難点となっています。


ELISA 法:現在わが国で市販されている診断用キット(ヨーネライザ)は家畜衛生試験場(現・動物衛生研究所)で製造配布されていた原法を簡便化したものです。マイクロプレートには抗原を吸着させ、また抗体検出系を一段階としたことから1日以内で判定可能となっています。病巣の進行度は病巣中のヨーネ菌増殖量(糞便中の菌量)とある程度の関連があり、排菌量が少ない牛でのELISA陽性率が低い事から清浄化プログラムでは培養法との併用が奨められています。


ヨーニン反応: ヨーネ菌の培養ろ液をヨーニンで濃縮し、0.1mL を尾根皮内に注射後48時間~72時間までの間における腫脹の差を測定します。(皮内反応)


リアルタイムPCR法: ヨーネ菌に特異的な挿入DNA配列 IS900をターゲットとして糞便中のヨーネ菌遺伝子を検出する方法です。糞便からの抽出液2.5μl中の遺伝子量が0.001pg以上の検体を陽性とすることとしています。


その他の検査方法


液体培地による糞便培養法:日本国内ではほとんど行われていませんが、糞便を液体培地で培養するものです。
また、液体培地を用いた培養で菌量を増やした後に培地からDNAを抽出して遺伝子を検出する、というように培養法と遺伝子検査法を組み合わせることで、より効率的にヨーネ菌が検出可能であるという報告が発表されています。


IFN-γ(インターフェロン・ガンマ)検査: IFN-γ検査法は、ヨーニン反応に変わる細胞性免疫診断法です。ヘパリン処理血液にヨーニンPPDなどの抗原 を加えて一晩培養すると、抗原特異応答性ヘルパーT細胞が大量のIFNγを放出します。これをIFNγモノクローナル抗体を固相化したマイクロプレートで 捕捉し、酵素標識IFNγ抗体で検出定量します。ヨーニン反応に比べて、検査労力と判定時間の軽減・短縮になり感度も高いと報告されています。((独) 動物衛生研究所の報告より)


LAMP法によるヨーネ菌の検出: PCR法と同様に、ヨーネ菌に特異的な挿入配列 IS900をターゲットとしてヨーネ菌遺伝子を検出します。菌量を定量することはできませんが、ヨーネ菌の同定に利用可能です。ヨーネ菌用のLAMP法プライマーが研究用試薬として市販されました。

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