遺伝の原理

遺伝 heredity
親から子へ遺伝子(形質)が伝わること。
遺伝子 gene
狭義的には蛋白質の合成にあずかる機能的な単位。蛋白質合成に関与しなくても親から子に伝えられるDNAの一まとまりも遺伝子と類義的に呼んでいる。
遺伝子座 locus
染色体または連鎖地図上の遺伝子の位置のこと。
遺伝子型 genotype
ある生物が持っている2つの対立遺伝子の組み合わせのタイプ。ヒトのABO式血液型ではAA、AB、AO、BB、BO、OOの6種類の遺伝子型がある。
ホモ/ヘテロ homozygous/heterozygous
同じ対立遺伝子を持つものをホモ接合体、違う対立遺伝子を持つものをヘテロ接合体という。ヒトのABO式血液型ではAA、BBおよび OOの遺伝子型がホモであるが、AO、BOおよびABの遺伝子型がヘテロである。
優性/劣性 dominant/recessive
ヘテロ接合体において一方の遺伝子のみが他方の遺伝子の発現を抑えて現れる。このようには発現する遺伝子を優性遺伝子といい、逆に発現しない遺伝子を劣性遺伝子という。ヘテロ接合体でどちらの遺伝子も発現することを共優性という。ヒトのABO式血液型ではA遺伝子とB遺伝子がどちらもO遺伝子に対して優性であり、A遺伝子とB遺伝子は互いに共優性である。したがってO型の表現型は劣性ホモの個体であるという。
メンデリアンサンプリング Mendelian sampling
父・母が同じ全兄弟の間にも遺伝的なバラツキが生じる。このことをメンデリアンサンプリングという。これは配偶子にどちらの対立遺伝子が入るか全く偶然 によるからである。父母が同じAB型であってもその子どもはAA型、AB型およびBB型とばらつく。
分離 segregation
減数分裂時にある遺伝子座の対立遺伝子が分離し、異なる配偶子に分配されること。
対立遺伝子(アリル) allele
高等生物は全て遺伝子を必ずペアで持っている。親から子へ遺伝子が伝えられる時にお互いにどちらか一方が選ばれるような関係にある一連の遺伝子。ヒトのABO式血液型ではA遺伝子、B遺伝子およびO遺伝子の3つの対立遺伝子がある。
表現型 phenotype
実際に観察できるある形質のタイプ。遺伝子型に対応する言葉でABO式血液型ではA型、B型、AB型およびO型の4種類がある。質的形質と違い量的形質では表現型は無数にあり、それぞれの個体の観察値を表現型値という。
表現型頻度 phenotype frequency
ある表現型が集団の中に占める割合。ここでは表現型頻度はA型とB型がそれぞれ40%、AB型とO型がそれぞれ10%。
遺伝子プール gene pool
遺伝子の集合として交配可能な集団。個体数がNあると遺伝子プールの大きさは2Nである。個体数10:2×10=20
遺伝子型頻度 genotype frequency
ある遺伝子型が集団の中に占める割合。ここでは遺伝子型頻度はAA、AO、BB、BOの各遺伝子型についてそれぞれ20%、AB、OOの遺伝子型についてそれぞれ10%。
遺伝子頻度 gene frequency
ある対立遺伝子が遺伝子プールの中に占める割合。その遺伝子についてホモ個体は2とカウントしヘテロ個体を1とカウントし、それらの合計を2Nで割る。 A遺伝子の頻度=(2×2(AA)+1×2(AO)+1×1(AB))/20=35%。同様にしてB遺伝子頻度=35%、O遺伝子頻度=30%。
近交係数 coefficient of inbreeding
共通祖先に由来する遺伝子が子どもでホモになる確率。実際の計算ではある子どもの近交係数は父親から共通祖先をたどって母親にたどりつく経路にある個体数だけ1/2を掛ければ良い。一般に近親交配は劣性ホモの形質の顕在化により適応形質が劣る(近交退化)傾向にあるので、乳牛などでは近交係数が6.25%以上の交配は避けられているが、黒毛和種の種雄牛は近交係数の高いものが多い。

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