試験研究は今 No.298「ニシンの成熟度調査報告 留萌支庁管内の測定結果速報から」(1997年3月21日)
ニシンの成熟度調査報告 留萌支庁管内の測定結果速報から
日本海のニシン増大対策事業は平成8年度からスタートしたところであり、昨年は石狩支庁管内厚田地区で放流用種苗確保のため、ニシンの採卵を実施したところですが、本年は留萌支庁管内においても採卵を実施することとなりました。
採卵にあたっては、ニシンの成熟度を調べて時期を決める必要があることから、2月下旬から毎週調査を実施することとしました。
第1回目は2月28日に留萌地区で漁獲されたニシン親魚100尾を測定しました。
その結果は、平均全長でメスが263ミリメートル、オスが262ミリメートル、平均生殖腺指数でメスが28.9、オスで20.9と十分に成熟していることから、翌週に採卵を実施することとしました。
採卵は留萌地区で実施することとなり、3月6日早朝から留萌漁協市場で行われました。周辺海域で漁獲された親魚から手際よく卵を取り出し受精させ180百万粒余りを確保し、羽幌町にある北海道栽培漁業羽幌センターに収容しました。
このときに併せて採卵に用いた親魚100尾を測定し、第2回目の成熟調査を実施しました。
結果は平均全長がオスメスとも261ミリメートル、平均生殖腺指数はメスで28.4、オスで23.3と前回に比べてオスの生殖腺指数がやや増加していました。
また、同じ日に苫前地区で漁獲されたニシン85尾も測定しました。
結果は、平均全長でメスが261ミリメートル、オスが263ミリメートル、生殖腺指数ではメスが31.0、オスで17.8で留萌地区と比較して、平均全長はほぼ同じであったが、平均生殖腺指数ではメスがやや高くオスではかなり低くなっていました。
第3回目の成熟度調査は3月11日に行いました。前回実施した留萌地区と小平地区に加え、今回は羽幌地区で漁獲されたニシンも測定しました。測定尾数は留萌地区100尾、苫前地区87尾、羽幌地区75尾でした。
結果は、平均全長が留萌地区で260ミリメートルで前回と同じであり、苫前地区の254ミリメートル、羽幌地区の253ミリメートルと大きな差がありません。
成熟腺指数でみると、留萌地区ではメス28.7、オス15.9と前回に比べ、オスがかなり減少していました。また、苫前地区はメスが28.1と前回より減少したのに対して、オスは20.4と増加しました。
以上、留萌支庁管内で実施したニシン成熟度調査の速報結果ですが、今回までの測定結果で、生殖腺指数に大きな変化がないのは、つぎつぎと来遊してくる新たな群を漁獲していることが原因と考えられ、今後は放卵後の親魚の漁獲が増えることから、生殖腺指数が大きく減少することが予想されます。
この調査は現在も継続中ですので、最終結果がまとまりしだい、ご報告します。(稚内水試 資源増殖部)
採卵にあたっては、ニシンの成熟度を調べて時期を決める必要があることから、2月下旬から毎週調査を実施することとしました。
第1回目は2月28日に留萌地区で漁獲されたニシン親魚100尾を測定しました。
その結果は、平均全長でメスが263ミリメートル、オスが262ミリメートル、平均生殖腺指数でメスが28.9、オスで20.9と十分に成熟していることから、翌週に採卵を実施することとしました。
採卵は留萌地区で実施することとなり、3月6日早朝から留萌漁協市場で行われました。周辺海域で漁獲された親魚から手際よく卵を取り出し受精させ180百万粒余りを確保し、羽幌町にある北海道栽培漁業羽幌センターに収容しました。
このときに併せて採卵に用いた親魚100尾を測定し、第2回目の成熟調査を実施しました。
結果は平均全長がオスメスとも261ミリメートル、平均生殖腺指数はメスで28.4、オスで23.3と前回に比べてオスの生殖腺指数がやや増加していました。
また、同じ日に苫前地区で漁獲されたニシン85尾も測定しました。
結果は、平均全長でメスが261ミリメートル、オスが263ミリメートル、生殖腺指数ではメスが31.0、オスで17.8で留萌地区と比較して、平均全長はほぼ同じであったが、平均生殖腺指数ではメスがやや高くオスではかなり低くなっていました。
第3回目の成熟度調査は3月11日に行いました。前回実施した留萌地区と小平地区に加え、今回は羽幌地区で漁獲されたニシンも測定しました。測定尾数は留萌地区100尾、苫前地区87尾、羽幌地区75尾でした。
結果は、平均全長が留萌地区で260ミリメートルで前回と同じであり、苫前地区の254ミリメートル、羽幌地区の253ミリメートルと大きな差がありません。
成熟腺指数でみると、留萌地区ではメス28.7、オス15.9と前回に比べ、オスがかなり減少していました。また、苫前地区はメスが28.1と前回より減少したのに対して、オスは20.4と増加しました。
以上、留萌支庁管内で実施したニシン成熟度調査の速報結果ですが、今回までの測定結果で、生殖腺指数に大きな変化がないのは、つぎつぎと来遊してくる新たな群を漁獲していることが原因と考えられ、今後は放卵後の親魚の漁獲が増えることから、生殖腺指数が大きく減少することが予想されます。
この調査は現在も継続中ですので、最終結果がまとまりしだい、ご報告します。(稚内水試 資源増殖部)
<留萌> | 全長(ミリメートル) | 生殖腺重量(グラム) | 生殖腺指数 | |||||
測定月日 | 性 | 尾数 | 範囲 | 平均値±標準偏差 | 範囲 | 平均値±標準偏差 | 範囲 | 平均値±標準偏差 |
2/28 | 雌 | 57 | 240-311 | 263±10.81 | 20.6-60.3 | 31.7±6.45 | 13.2-36.7 | 28.9±4.17 |
雄 | 43 | 249-297 | 262±8.35 | 12.6-35.2 | 23.1±5.51 | 12.6-29.5 | 20.9±4.72 | |
3/6 | 雌 | 51 | 246-277 | 261±8.21 | 21.4-45.2 | 31.0±5.43 | 21.4-36.5 | 28.4±3.35 |
雄 | 49 | 244-306 | 261±7.63 | 9.7-40.7 | 26.2±6.66 | 10.1-31.3 | 23.3±4.71 | |
3/11 | 雌 | 49 | 242-287 | 260±9.56 | 17.8-47.6 | 30.3±5.61 | 17.3-36.5 | 28.7±3.87 |
雄 | 51 | 247-272 | 259±6.43 | 7.0-28.1 | 17.1±5.28 | 6.9-25.7 | 15.9±4.32 | |
<苫前> | ||||||||
3/6 | 雌 | 50 | 243-279 | 261±7.63 | 26.7-48.9 | 35.6±5.22 | 24.3-39.1 | 31.0±3.03 |
雄 | 35 | 245-283 | 263±7.57 | 5.0-31.2 | 20.6±5.42 | 4.6-24.4 | 17.8±4.30 | |
3/11 | 雌 | 50 | 237-276 | 255±7.24 | 19.8-47.3 | 31.3±5.14 | 18.3-34.9 | 28.1±3.97 |
雄 | 37 | 235-368 | 252±8.47 | 11.3-41.0 | 22.7±5.95 | 11.7-32.3 | 20.4±4.02 | |
<羽幌> | ||||||||
3/11 | 雌 | 39 | 234-265 | 253±7.55 | 17.2-34.9 | 28.2±4.03 | 17.0-32.0 | 25.8±3.25 |
雄 | 36 | 233-272 | 253±7.93 | 15.8-30.0 | 22.9±4.08 | 14.6-26.6 | 20.2±2.17 |