試験研究は今 No.310「然別湖オショロコマの資源について」(1997年7月4日)
然別湖オショロコマの資源について
ピーターセン法による資源推定
然別湖のオショロコマは資源減少のために1992年まで禁漁とされていましたが、93年に湖の一部地域で遊魚が再開されました。漁業権を持つ鹿追町は遊魚による資源減少を防止するために、遊魚再開に当たり規制を改めました。
遊魚希望者の事前申し込み、釣獲期間、尾数、竿数の制限、釣獲情報の報告義務等遊魚の実態を把握できる仕組みとしました。また、資源管理を的確に行うには漁獲情報と同時に資源量の推定が重要となります。
そこで、湖内に生息するオショロコマ資源量推定をピーターセン法により試みました。
遊魚希望者の事前申し込み、釣獲期間、尾数、竿数の制限、釣獲情報の報告義務等遊魚の実態を把握できる仕組みとしました。また、資源管理を的確に行うには漁獲情報と同時に資源量の推定が重要となります。
そこで、湖内に生息するオショロコマ資源量推定をピーターセン法により試みました。
表1:オショロコマ資源量の推定
ピーターセン法(標識放流法)
N=tn/s
N=資源量、t=標識放流尾数、n=刺網採捕、s=標識魚再補尾数
推定した資源量の精度について
河川に遡上する成熟個対数に注目
・Mt:湖内採捕群の成熟率から推定資源量の内の成熟個体数を求める。
・Mr:河川遡上数
・Ml:遊魚釣獲数の内、成熟個体を推定
・Mtと(Mr+Ml)を比較した。
この方法を利用できる条件として、推定しようとする魚が移出入しないこと、また、死亡数を推定できることです。
然別湖の場合、調査期間中に魚の移出入がなく、標識放流から採捕までの期間が短いので死亡数を無視することができることからこの方法を採用しました。また、秋になると湖で親になった魚は河川に遡上することから、その数と推定尾数の成熟率から精度を比較検討しました。
(表1)この調査は95,96年の2カ年実施しており、具体的な方法は6月に釣りにより採捕したオショロコマを体長測定した後、標識放流し、8月に刺し網で採捕してその中に含まれる親魚数を合計としたものとを比較しました(表3)。95年の推定値13,880尾でした。
また、96年の推定値は31,635尾でした。その推定値がどの程度妥当性があるのか成熟数で比較すると95年は7,781尾に対して7,042尾と試算値と比較的近い値でした。
ところが96年は21,000尾に対して5,744尾とその差は大きく広がりました。この精度の問題は、標識魚がどの程度生き残るかという生残試験を行うことが出来なかったために標識魚の実数を把握できなかったことによります。今後は、これらの点を充分検討して調査を行う必要があります。また、もう一つの問題として、採捕に使った釣りや刺し網の漁法では小型魚が採捕されにくいことが判り、湖に生息している全数を推定することが困難であることが判明しました。しかし、これらの漁法で採捕されるサイズは主に4,5年魚で占められ、それらの多くは、その年や翌年に成熟する群れであることから再生産資源としてどの程度の数を河川遡上させて、資源を維持するのか、また、どの程度の尾数まで遊漁で約一らせるかを判断できると考えられます。
これらのことから然別湖オショロコマの資源管理手法としてピーターセン法を利用できると考えられました。
N=tn/s
N=資源量、t=標識放流尾数、n=刺網採捕、s=標識魚再補尾数
推定した資源量の精度について
河川に遡上する成熟個対数に注目
・Mt:湖内採捕群の成熟率から推定資源量の内の成熟個体数を求める。
・Mr:河川遡上数
・Ml:遊魚釣獲数の内、成熟個体を推定
・Mtと(Mr+Ml)を比較した。
この方法を利用できる条件として、推定しようとする魚が移出入しないこと、また、死亡数を推定できることです。
然別湖の場合、調査期間中に魚の移出入がなく、標識放流から採捕までの期間が短いので死亡数を無視することができることからこの方法を採用しました。また、秋になると湖で親になった魚は河川に遡上することから、その数と推定尾数の成熟率から精度を比較検討しました。
(表1)この調査は95,96年の2カ年実施しており、具体的な方法は6月に釣りにより採捕したオショロコマを体長測定した後、標識放流し、8月に刺し網で採捕してその中に含まれる親魚数を合計としたものとを比較しました(表3)。95年の推定値13,880尾でした。
また、96年の推定値は31,635尾でした。その推定値がどの程度妥当性があるのか成熟数で比較すると95年は7,781尾に対して7,042尾と試算値と比較的近い値でした。
ところが96年は21,000尾に対して5,744尾とその差は大きく広がりました。この精度の問題は、標識魚がどの程度生き残るかという生残試験を行うことが出来なかったために標識魚の実数を把握できなかったことによります。今後は、これらの点を充分検討して調査を行う必要があります。また、もう一つの問題として、採捕に使った釣りや刺し網の漁法では小型魚が採捕されにくいことが判り、湖に生息している全数を推定することが困難であることが判明しました。しかし、これらの漁法で採捕されるサイズは主に4,5年魚で占められ、それらの多くは、その年や翌年に成熟する群れであることから再生産資源としてどの程度の数を河川遡上させて、資源を維持するのか、また、どの程度の尾数まで遊漁で約一らせるかを判断できると考えられます。
これらのことから然別湖オショロコマの資源管理手法としてピーターセン法を利用できると考えられました。
表2:標識放流結果
N=tn/s | 1995年結果 | 1996年結果 |
刺網漁獲魚 | 刺網漁獲魚 | |
標識尾数(t) | 597 | 1,867 |
採捕尾数(n) | 558 | 305 |
標識魚の採捕日数(s) | 24 | 18 |
資源推定尾数(N) | 13,880 | 31,635 |
95%信頼限界 | 9,919~23,110 | 21,708~58,291 |
表3:資源推定値から算出した各群の推定資源尾数及び推定成熟尾数と河川遡上親魚数
1995年結果 | ||||||||
推定資源数 | 成熟数 | 遊漁釣獲数 | 成熟数 | 河川遡上数 | 計 | |||
区分 | 尾 | 尾 | 尾 | 尾 | 尾 | 尾 | ||
標識放流魚 | 597 | 348 | 6 | 3 | 21 | 24 | ||
天然魚 | 9,602 | 4,897 | 2,459 | 1,257 | 3,367 | 4,624 | ||
池産放流魚 | 3,682 | 2,536 | 858 | 586 | 1,806 | 2,394 | ||
合計 | 13,880 | 7,781 | 3,323 | 1,846 | 5,196 | 7,042 | ||
1996年結果 | ||||||||
推定資源数 | 成熟数 | 遊漁釣獲数 | 成熟数 | 河川遡上数 | 計 | |||
区分 | 尾 | 尾 | 尾 | 尾 | 尾 | 尾 | ||
標識放流 | 1,873 | 1,249 | 154 | 103 | 110 | 213 | ||
天然魚 | 24,038 | 17,668 | 3,198 | 2,351 | 2,430 | 4,781 | ||
池産放流魚 | 5,723 | 2,772 | 1,102 | 533 | 217 | 750 | ||
合計 | 31,635 | 21,689 | 4,454 | 2,987 | 2,757 | 5,744 |
(水産孵化場資源管理部 坂本博幸)