試験研究は今 No.612「アカガレイ・ソリネット調査が始まりました。」(2008年4月16日)
はじめに
アカガレイは噴火湾海域においてホタテ、サケ、スケトウダラなどに次ぐ重要な魚種で、主に刺し網漁業で漁獲されています。漁獲量はこれまで大きく増減を繰り返してきましたが、近年は非常に少なくなっています。本種の資源は卓越年級群と呼ばれる加入量が非常に多い年級群に左右され、(図2)、これまで1989年、1991年、1995年に卓越年級群が出現し、これらの年の数年後に漁獲量が増加しています。このように、今後の資源状態を予測するためには各年の年級群の分布量を早期に把握することがとても重要となりますが、現状では加入前の情報が十分に分かっていません。
そこで函館水産試験場では、漁獲対象となる前の小さい時期のアカガレイ(体長20センチメートルより小さい0~2歳)の分布量を調べるために、ソリネット(図3)と呼ばれる小型の桁網(けたあみ)による調査を行いました。
そこで函館水産試験場では、漁獲対象となる前の小さい時期のアカガレイ(体長20センチメートルより小さい0~2歳)の分布量を調べるために、ソリネット(図3)と呼ばれる小型の桁網(けたあみ)による調査を行いました。
調査方法
2007年7月と2008年2月に噴火湾内の15調査点(図4)で函館水産試験場 試験調査船 金星丸でソリネットによるアカガレイの採集調査を行いました。方法はソリネットで約2ノットのスピードで5~10分間、曳網しました。
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図3 調査に用いたソリネット/図4 調査点
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結果
荒天等のため一部の調査点で調査ができませんでしたが、7月は15調査点中8点、2月は15調査点中13点で調査を行いました。
アカガレイは7月では噴火湾の中心部で、2月では噴火湾の奥と入り口の海域で多く採集されました(図6)。採集されたアカガレイの大きさは7月の調査では体長(全長)8~25センチメートル、2月の調査では体長7~35センチメートルでした(図7)。
年齢は7月の調査では2~4歳の個体が多く採集されました。
アカガレイは7月では噴火湾の中心部で、2月では噴火湾の奥と入り口の海域で多く採集されました(図6)。採集されたアカガレイの大きさは7月の調査では体長(全長)8~25センチメートル、2月の調査では体長7~35センチメートルでした(図7)。
年齢は7月の調査では2~4歳の個体が多く採集されました。
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図5 調査風景(ソリネット揚網中)
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図5 調査風景(漁獲されたアカガレイ)
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図6 アカガレイの採集尾数(2007年7月、5分曳)
円内の数字は採集尾数
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図6 アカガレイの採集尾数(2008年2月、10分曳)
円内の数字は採集尾数
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図7 採集されたアカガレイの大きさ(左:2007年7月 右:2008年2月)
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おわりに
今回の調査では漁業で漁獲される前の小さなアカガレイを採集することができました。今後、調査データを積み重ねて各年の年級群の分布量の早期把握を目指していきたいと思います。
(函館水産試験場調査研究部 本間隆之)