ニシン人工種苗生産

ニシン

親の飼育方法、特徴

 種苗生産に供する親魚は、港に水揚げされた直後の漁獲物の中から、鮮度がよく、腹部が膨満し、腹部を圧搾して卵あるいは精子が生殖口から出る成熟したものを選びます。
また、卵の場合、水分が多いものは過熟しているので避けます。
  • 人工受精に使われる水揚げされたばかりのニシンです。

受精・ふ化の方法、特徴

親魚の腹部をハサミで切開し、生殖巣を摘出します。摘出した卵巣と精巣はそれぞれ別の容器に入れておき、採取した精液を卵にかけて受精させます(乾導法)。
受精卵は、海水中でマブシ(シュロ繊維を銅線に巻いてブラシ状にしたもの)に付着させ、マブシの上部に浮子、下部に沈子を付け、水槽に設置します。卵管理水槽の水温は3℃位から徐々に昇温し、14~20日後にふ化するよう10℃以下で調温します。
ふ化の始まるタイミングで、マブシごと生産水槽に収容します。ふ化した仔稚魚(体長8ミリメートル前後)は育成水槽(40t水槽)で、換水、通気しながら飼育します。水温は、10℃から一日1℃ずつ昇温し14℃で管理します。 
  • 魚体を測定しながら流れ作業で卵巣と精巣を取り出します。

  • 取り出した卵巣から卵膜を除去し、卵を容器に集めます。

  • 卵に精子をかけて受精させます。

  • 海水を入れた容器の中で、マブシに受精卵を付着させる作業を行っている様子。

  • マブシに受精卵を付着させた状態です。

  • マブシを水槽に収容します。

餌料の種類、特徴

餌料は、ワムシ、アルテミア、配合飼料を、仔稚魚の成長段階ごとに組み合わせて給餌します。
  • 円形水槽を使ってシオミズツボワムシを培養します。

  • ワムシの顕微鏡写真です。

  • 円形水槽を使ってアルテミアを培養します。

  • アルテミアの顕微鏡写真です。

  • ニシン仔稚魚に濃縮したアルテミアを給餌している様子です。

種苗の性質、飼育時間、期間

仔稚魚育成水槽で飼育した仔稚魚は、60日齢前後で一旦取り上げ、屋外水槽に収容し、種苗配布(全長45ミリメートル前後)までの5~10日間育成します。
この間、配合餌料を1日3回給餌します。 
  • 屋外水槽による飼育の様子です。

  • 仔稚魚を定期的に測定し、成長状況を確認します。

  • 配合飼料の給餌風景です。

中間育成

配布された稚魚は、各地の放流地先において、約3週間、全長70ミリメートルまでの成長を目標に中間育成され放流されます。
日本海の場合、5月中旬~下旬に中間育成が開始され、6月初旬~中旬頃に放流されます。 
  • 計量を行いながら稚魚を出荷します。

  • 稚魚の輸送は、水槽が積まれた専用トラックで行われます。

  • 中間育成先では、ホースを使って生け簀に収容します。

  • 収容作業の様子です。

  • 生け簀に放たれたニシン種苗です。

  • 給餌の様子(1日2回、配合飼料を給餌します。)

  • 稚魚を定期的に測定し、成長状況を確認します。

  • 生け簀の網を広げ、稚魚を放流します。

  • 放流魚の耳石には、標識(ALC標識)が付けられているので、漁獲されたニシンの耳石を調べることで、放流魚か天然魚か判別できます。

種苗放流実績

(平成15年)
生産地 放流場所 放流数
 北海道栽培漁業振興公社 羽幌事業所   宗谷、留萌、石狩、後志管内 13カ所  1,671千尾(平成17年度以降は2,000千尾以上の放流)
 水産総合研究センター
厚岸栽培漁業センター
 釧路管内3カ所  702千尾
 別海町ニシン種苗生産センター  根室管内8カ所  1,854千尾

種苗生産について

 1 種苗生産のあらまし
北海道におけるニシンの増殖事業は、北海道サハリン系群資源が衰退期にはいった1924年、水産試験場による人工ふ化の基礎的実験から始まりました。当時のふ化事業は、ほとんどが受精卵のふ化かふ化仔魚までで、効果は見られませんでした。
種苗の大量生産に関しては、昭和49年以降の北海道栽培漁業総合センター(現 道総研 栽培水産試験場)や北海道区水産研究所(現 水産総合研究センター)における一連の研究があり、それらの結果に基づき、日本栽培漁業協会厚岸事業場(同)や宮古事業場(同)において事業化に向けての技術が開発され、100万尾以上を安定的に生産できるようになりました。
日本海側では、平成8年度から19年度にニシンプロジェクトで、石狩湾系ニシンの種苗生産・放流による資源増大試験が行われており、(社)北海道栽培漁業振興公社羽幌事業所で体長45mm種苗200万尾の生産を行っております。

2 種苗生産方法・工程等
天然魚を親魚とし、乾導法により受精させます。受精卵はマブシに付着させて卵管理水槽に設置し、水温管理をしてふ化させます。この時、ふ化する直前のタイミングで卵を消毒し、マブシごと生産水槽に移します。ふ化した仔魚を、生産水槽から育成水槽に移し、通気、換水しながら60日間程度飼育します。
餌料は、ワムシ、アルテミア、配合飼料の順に、仔稚魚の大きさに合わせて、複数種の餌料を組み合わせて給餌します。その後、屋外水槽に収容し、配合飼料を1日3回与えながら、全長45ミリメートル前後まで育成し、種苗として後志北部~稚内までの日本海側各地の中間育成場に出荷します。各地の中間育成場では、約3週間、全長70ミリメートルまでの成長を目標に育成し、放流します。
協力・取材・編集
協力:(社)北海道栽培漁業振興公社 羽幌事業所
東しゃこたん漁業協同組合
取材:留萌北部地区水産技術普及指導所、後志北部地区水産技術普及指導所
編集:中央水産試験場普及指導員(現 後志北部地区水産技術普及指導所 普及指導員) 

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