ヒラメ人工種苗生産

ヒラメ

親の飼育方法、特徴

親魚は、若齢で漁獲され1~数年養成された天然魚を主に使用し、中央水産試験場でウイルス性神経壊死症ELIS抗体検査したものを使用します。平成15年度では、雌75尾、雄121尾の計196尾を産卵親魚として使用しました。
産卵開始期の4月に向けて水温は、1月中旬まで最低水温8℃で管理し、以降2週間に1℃ずつ昇温し、4月中旬からは15℃に保ちます。併せて電照で長日コントロールも行います。
親魚育成水槽は、コンクリート水槽を使用し、水深は通常0.9メートル、産卵期0.8メートルとします。給餌は、週3回とし、オオナゴに栄養添加剤を添着して給餌します。
  • 親魚育成水槽で養成中のヒラメ親魚。産卵期に親魚を驚かせるのは厳禁です。水槽内で自然産卵されます。

受精・ふ化の方法、特徴

親魚育成水槽内で自然産卵された受精卵は、分離浮性卵のため、水槽からオーバーフローさせ、集卵管で採卵ネットに集め、卵分離槽(0.1トンアルテミアふ化槽)に収容します。
ここで浮上卵と沈下卵に分離し、浮上卵 500gを限度に卵管理水槽(1トンアルテミアふ化槽)に移し、水温16℃、微流水、微通気で卵管理を行います。
ふ化した仔魚は、ふ化した翌日に、表層に浮上した仔魚をバケツで、残りはサイフォンにて仔稚魚育成水槽に収容します。
  • 産卵された卵を、親魚育成水槽の集卵管(表層排水口)からネットで受けます。

  • ネットに溜まった卵を取り上げます。

  • 回収した卵を卵分離槽に収容します。

  • 卵分離槽で浮上卵(受精卵)と沈下卵(未受精卵)に分離している様子です。

  • 回収された浮上卵です。

  • 顕微鏡で卵の状態(受精・発生)を確認をします。

  • 受精卵を卵管理槽へ収容します。

  • 卵管理槽では、水温15℃で3日程でふ化します。

  • ふ化後2日(浮遊期)のヒラメ仔魚です。 ふ化後3日で口が開き、餌を取り始めます。

餌料の種類、特徴

餌料として、シオミズツボワムシ、アルテミアを培養します。併せて、ワムシの栄養強化剤としてナンノクロロプシスも培養します。
仔稚魚のステージごとに、ワムシ、アルテミア、配合飼料の順に複数の餌料を組み合わせて給餌します。ナンノクロロプシスは、ワムシ給餌期を主体に育成水槽に添加します。
  • ヒラメ仔稚魚の餌となるシオミズツボワムシ(右)とアルテミア(左)を予め培養しています。

  • 50トン仔稚魚育成水槽(屋内水槽)へ、ワムシと一緒にナンノクロロプシスも添加されます。

種苗の性質、飼育時間、期間

屋内の大型コンクリート水槽等を使用し、水温、換水量、通気等を管理し、仔稚魚を育成します。日常管理として、底掃除、成長測定、環境測定(水温、PH)、飼料から溶け出る油分による皮膜取り等を行います。
取り上げは、90径ナイロンモジ網小割生け簀で選別し、25ミリメートル~30ミリメートルに成長した稚魚を屋外の中間育成水槽に移送します。 
  • 16日齢の浮遊期の仔魚です。ワムシとアルテミアを給餌します。

  • 28日齢の変態を完了した稚魚です。アルテミアと配合飼料を給餌します。

中間育成

屋外の大型コンクリート水槽を使用し、稚魚の大きさ別に育成します。水温は、自然海水温で、換水しながら管理します。配合飼料を1日3回給餌します。
育成終了時にトリカルネットのフルイで選別し、全長80ミリメートルで出荷、放流します。
  • 日常管理作業の様子(屋外水槽)です。

  • 中間育成中のヒラメ稚魚です。全長25~30ミリメートル程の稚魚を80ミリメートルまで飼育します。

  • 全長80ミリメートル程に成長したヒラメを出荷します。出荷作業の様子です。

  • ヒラメ専用の輸送籠に収容します。

  • 輸送籠にふたをして、トラックの水槽に積み込みます。

  • 放流地に到着後、輸送籠ごと船の水槽に移します。(トラックの水槽のまま船に積み込む場合もあります。)

  • 漁業者が放流している様子です。

  • 海に放流されたばかりのヒラメ稚魚です。

種苗放流実績

(平成15年)
生産地 放流場所 放流数
北海道栽培漁業振興公社 羽幌事業所 宗谷、留萌、石狩、後志北部管内22カ所 1,127千尾
北海道栽培漁業振興公社 瀬棚事業所 後志南部、檜山、渡島管内14カ所 972千尾

種苗生産について

 1 種苗生産のあらまし
本道におけるヒラメの種苗生産試験は、道立栽培漁業総合センター(現 道総研 栽培水産試験場)において、昭和57年(1982)、先行していた秋田、岩手県等の技術を導入することにより開始されました。ふ化・仔稚魚の水温管理技術、着底期における配合飼料、自然産卵による受精卵確保技術等が開発されたことにより種苗量産体制が整い、平成8年(1996)以降、(社)北海道栽培漁業振興公社羽幌・瀬棚事業場を中心に、津軽海峡から日本海の各海域への220万尾放流が可能となりました。

2 種苗生産方法・工程等
4月~5月にかけて親魚からの自然産卵により確保された受精卵を管理し、ふ化させます。ふ化した仔魚は、ふ化翌日から育成水槽に収容し、給餌、水温管理、底掃除等を行いながら、およそ50日間前後育成します。全長25~30ミリメートルで取り上げ、選別用生け簀で選別します。
取り上げ選別後5~7日目に屋外中間育成水槽に移送し、放流サイズ(80mm)に達するまで中間育成します。例年、中間育成を終了して放流するのは、ふ化後90日齢となる8月~9月頃となります。
協力・取材・編集
協力:(社)北海道栽培漁業振興公社 羽幌事業所
取材:留萌北部地区水産技術普及指導所、後志北部地区水産技術普及指導所
編集:中央水産試験場普及指導員(現 後志北部地区水産技術普及指導所 普及指導員) 

ページのトップへ