エゾアワビ人工種苗生産

エゾアワビ

親の飼育方法、特徴

餌や水温をコントロールして成熟促進を行い、北海道では3月下旬から4月上旬に採卵を行います。人工受精に用いる母貝は、2年貝で成長のよい殻長6.5cm以上のものを用います。
  • 母貝 上:オス(生殖巣が白色)、下:メス(生殖巣は濃緑色)

受精・ふ化の方法、特徴

暗室内の20リットル角形水槽に雄雌とも1個体ずつ収容し、紫外線照射海水をかけて刺激し、放卵・放精を促します。
次に、卵を収容した水槽に精子の入った海水を添加して受精させます。
水温20℃、約12時間でふ化した幼生を飼育水槽(流水飼育装置)で飼育します。幼生は、トロコフォア、ベリジャーを経て、約4日で稚貝に変態するので、着底・変態のタイミングで採苗水槽に収容し、付着性微小藻類(アワビモ=通称ウルベラ)を培養した波板に沈着させます。
  • 産卵誘発の様子です。実際には水槽に暗幕をかけ、部屋の電気を消して行います。

  • 放精中のオス(白い糸の様に見えるのが精子です。)

  • 放卵中のメス(濃い緑色の粒々が卵です。)

  • 人工受精の様子 卵を収容した水槽に精子を混ぜ、受精させます

  • 受精直後の受精卵

  • 受精2時間後(細胞期)

  • 2日目のふ化幼生(ベリジャー幼生)

  • 4日目のふ化幼生(ベリジャー幼生)

  • 着底稚貝

餌料の種類、特徴

沈着した稚貝は、殻長10ミリメートル程度までは初期稚貝として、アワビモ(ウルベラ・レンズとも呼ばれる微細な付着緑藻類の一種)の上に繁茂させた付着珪藻を餌にして波板飼育します。
  • アワビモ(ウルベラ)の培養水槽です

  • アワビモの付いた波板です。

種苗の性質、飼育時間、期間

選別以後は、後期稚貝として、カゴに収容し、配合飼料を餌として飼育します。
温泉熱等を利用し、約1年間飼育すると殻長30ミリメートルとなり、各地の養殖場、中間育成施設に出荷されます。 
  • カゴ飼育の水槽です。

  • カゴ飼育中の稚貝(後期稚貝)です。

中間育成

中間育成施設では、殻長30ミリメートルの種苗に人工飼料を与え約1年間飼育し、殻長50ミリメートルに成長させてから出荷します。
  • 中間育成施設での給餌の様子です。

  • 餌は配合飼料を与えています。

  • 殻長50ミリメートルに育った放流用稚貝です。

  • 出荷の様子です。アワビを海水で湿らせたウレタンマットで覆って出荷されます。

  • 放流 海藻が豊富な岩礁地帯に放流します。

  • 放流アワビと天然アワビ
    左が放流され再捕されたアワビ、右が天然のアワビです。(小さい時期の殻の緑色が人工アワビの特徴です。)

種苗放流実績

(平成16年春)
支庁名 放流数
石狩 2.0万個
後志 13.4万個
檜山 45.5万個
渡島 17.9万個
宗谷 8.5万個
胆振 2.6万個
留萌 7.2万個
 

放流時の大きさ、方法、場所

放流時の大きさは30ミリメートル~50ミリメートルです。放流方法は船上からの直接放流や潜水による放流などで行われます。
放流場所は餌となる海藻が豊富でアワビの隠れ場所がある岩礁地帯に放流します。 

種苗生産について

 1 種苗生産のあらまし
アワビの人工種苗生産技術への試みは、昭和30年代後半から試験研究で開始され、昭和50年代以降、全国の栽培漁業センターで種苗生産が行われるようになりました。
本道においては、昭和47年に道立栽培漁業総合センター(現道立栽培水産試験場)が設立され、さらに昭和50年、大成町(現せたな町)アワビ種苗生産施設、昭和53年に(社)北海道栽培漁業振興公社鹿部支所がアワビ人工種苗の生産を開始し、200万粒の種苗を生産する体制が確立しました。
平成16年度以降は、(社)北海道栽培漁業振興公社熊石事業場で、170万粒前後の種苗を供給する状況となっています。

2 種苗生産方法・工程等
受精には、2年貝で成長の良い殻長6.5センチメートル以上の貝を用います。餌や水温などをコントロールして、北海道では春(3月下旬から4月上旬)に採卵を行います。
紫外線照射した海水によってオス、メスそれぞれの母貝に刺激をかけると放卵、放精します。その卵と精子を混ぜて受精させ、受精した卵は18℃で約15時間後にふ化し、トロコフォア幼生となって泳ぎ出します。その後、巻き貝の形をしたベリジャー幼生になり、約5日で着底稚貝になります。
稚貝は10ミリメートル程度になるまで、波板に微細な緑藻類のアワビモを培養し、その上に付着珪藻を増殖させて、それを餌として飼育します。珪藻を増殖させるためには栄養塩を添加し、光が当たる場所で飼育します。稚貝の大きさが10ミリメートルになると板から剥離(剥が)し、カゴ飼育を行います。このとき餌料は栄養価の高い配合飼料に切り替えます。
温泉熱を利用し、採卵から約1年間飼育すると稚貝の大きさは30ミリメートルになり出荷されます。6月から7月にかけて各地の放流場所や養殖場、中間育成施設に出荷されます。
中間育成施設では30ミリメートルの種苗に人工飼料を与え約1年間飼育し、50ミリメートルに成長させてから各地の放流場所や養殖場に出荷します。
放流時の大きさは30ミリメートル~50ミリメートルです。大きいほど放流後の生残が良い結果が得られます。放流方法は船上からのばらまき放流、潜水による放流などで行われます。放流場所は餌となる海藻が豊富でアワビの隠れ場所がある岩礁地帯に放流します。
協力・取材・編集
協力:(社)北海道栽培漁業振興公社 熊石事業所
ひやま漁業協同組合 熊石支所・同アワビセンター・上ノ国支所
八雲町(旧熊石町)
上ノ国町
上ノ国町栽培漁業総合センター
取材:檜山南部地区水産技術普及指導所
編集:中央水産試験場普及指導員(現 後志北部地区水産技術普及指導所 普及指導員)

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