コンブ人工種苗生産

コンブ

親の飼育方法、特徴

母藻は8月から9月に天然コンブを潜水により採取します。葉体に傷や穴が少なく、子のう斑(遊走子嚢)の発達したものほど良好な母藻です。
  • マコンブ母藻です。採苗のため陰干ししているところです。

受精の方法、特徴

母藻を陸上で洗浄・陰干し、1晩あんじょうした後、滅菌海水に浸し遊走子(胞子)を放出させます。基準以上の密度になった遊走子液を滅菌海水の入った100リットルボックスに数リットルずつ投入し、エスロンパイプ枠に巻いておいた種苗糸(アク抜き済みのクレモナ糸)を1枠(300メートル)ずつ入れてコンブ遊走子を種苗糸に着生させます。遊走子は雌雄別の配偶体へと生長・成熟し、その後に卵と精子を造り、受精後にコンブとなります。
  • 潜水により採取されたマコンブ母藻を子のう斑の形成状況によって選別します。

  • 選別された母藻です。

  • 母藻の傷の部分や子のう斑の未形成の不要な部文を雑菌混入防止のため切除します。

  • 母藻は1枚ずつ丁寧にスポンジを使って海水で洗浄します。

  • 母藻の水切りのため、陰干し作業です。

  • 陰干ししたコンブを1本ずつ新聞紙で巻きます。

  • 新聞紙に巻いたコンブを段ボールに詰め、1晩あんじょうします。

  • あんじょうの終わった母藻です。

  • 滅菌海水に浸漬し、遊走子の放出を促します。

  • 遊走子の放出状況を実体顕微鏡で確認して、個数を数えます。

  • 遊走子液からぬめりや雑物を取り除くため、ガーゼで濾(こ)します。

  • 種苗培養の100リットルボックスに遊走子液を数リットルずつ投入します。

  • 遊走子を着生させる種苗糸(クレモナ糸:径2ミリメートル)はあらかじめエスロンパイプで組み立てた枠に巻き付けておきます。

  • 種苗糸をボックスに入れ遊走子を着生させます。

培養液の種類、特徴

 促成コンブの種苗培養には主な培養液としてESI液を用います。これには塩化マンガン、塩化第二鉄、硝酸ナトリウム、トリスアミノメタンなど10種類以上の栄養塩類が調合されており、コンブ葉体の生長促進のため培養する滅菌海水に添加し栄養強化されます。
  • 翌日、水替え用ボックスに培養液を添加し種苗糸を入れ替えます。

種苗の性質

採苗は8月、9月に行い、約40日後の10、11月に葉体が3~5ミリメートルに生長したものを種苗糸に着生したまま出荷します。 
  • 培養開始から17日目のコンブ葉体の様子です。

  • 培養開始から29日目のコンブ葉体の様子です。

  • 培養開始から30日後の種苗糸の様子です。

  • 培養開始から40日後の種苗糸の様子です。

中間育成

出荷された種苗を沖合いの養殖施設に仮植します。水深は5日間までは7~9メートル位に下げ、その後徐々に引き上げて3~3.5メートルにし10日間くらいで終了します。
仮植は、コンブ種苗を外海に馴らすことや、密植状態の種苗から弱い種苗を落とし強い種苗を生き残らせる間引きの意味もあります。

養殖開始時の大きさ、方法、場所

仮植した種苗糸を5センチメートル程に切断し、養成綱に約30センチメートル間隔に挟み込みます。それを養殖施設(いかだ)の幹縄に垂下して養殖を開始します。 
  • 出荷された種苗糸を沖で仮植後、約5センチメートルに切ります

  • 切った種苗糸を養成綱に挟み込む作業です。

  • 養成綱を施設に垂下し、コンブ養殖の開始です。 コンブの葉体は生長と共に根を広げ、養成綱に着生していきます。

  • 約3ヶ月後に1回目の間引き作業を行い、コンブの生長を促します。

種苗放流実績

(平成16年度)
種類 メートル数
 マコンブ促成用種苗糸  64万メートル
 マコンブ2年用種苗糸  18万メートル
 オニコンブ2年用種苗糸  8万メートル
 ミツイシコンブ促成用種苗糸  3万メートル
 ガゴメ種苗糸  3万メートル
 リシリコンブ+その他種苗糸  約1万メートル
 全道合計  約97万メートル
 

種苗生産について

 1 種苗生産のあらまし
北海道のコンブ養殖は昭和35年頃から養殖技術の開発と企業化試験が行われ、昭和41年に南茅部町(現函館市)で促成マコンブ養殖試験に成功し、昭和44年から本格的な生産が行われました。
コンブ養殖に欠かせない種苗は、陸上施設で夏から秋にかけて採苗が行われ、コンブ種苗を糸に着生させて培養し、種苗糸として地元養殖業者を主体に配布されています。
一時は函館市を中心に各地の漁協で10箇所以上のコンブ種苗生産施設が設置されていました。しかしながら、近年は漁協合併に伴い、種苗生産施設も統合されて大型化しており、1回のコンブ種苗糸生産能力が20万メートル程の施設も完成しています。

2 種苗生産方法・工程等
現在、函館市内で行われている促成コンブ種苗生産は次の方法で行われています。
8月から9月にかけて子のう斑の発達した天然コンブを潜水で採取し、陸上で洗浄・陰干し、1晩あんじょうした後、滅菌海水に浸し遊走子を放出させます。そして基準以上の密度になった遊走子液を滅菌海水の入った100リットルボックスに数リットルずつ投入し、十分に攪拌します。そこにあらかじめエスロンパイプ枠に巻いておいた種苗糸(アク抜き済みのクレモナ糸)を1枠(300メートル)ずつ入れてコンブ遊走子を種苗糸に着生させます。その後、定期的に水替え、培養液添加、水温・照度調節を行って約40日後、種苗の葉体が3~5ミリメートル程度に成長したころ、養殖業者に出荷されます。
出荷された種苗糸は海中で10日ほど仮植した後、約5センチメートルに切って養成綱に挟み込み、養殖施設に垂下して、海中養殖が始まります。
協力・取材・編集
協力:南かやべ東部種苗センター
取材:渡島南部地区水産技術普及指導所 南茅部駐在(現 渡島中部地区水産技術普及指導所)
編集:栽培水産試験場普及指導員(現 胆振地区水産技術普及指導所 普及指導員)

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