エゾバフンウニのALC生体染色

エゾバフンウニのALC生体染色

北海道では、毎年6000万個体以上のエゾバフンウニ人工種苗が放流されています。放流された種苗がどの程度漁獲に結びついているかを調べ、その放流効果を検討する作業が進められていますが、一番の問題は放流したウニと天然発生したウニの区別です。
アワビでは餌の違いから放流するまでの殻の色が緑色になり、天然貝と区別することが容易ですが、ウニでは外観から簡単に見分ける方法がありません。ウニの殻(生殖板)には黒い輪紋が形成されます。日本海やオホーツク海ではこの輪紋が1年に1本できることが確かめられており、年齢の推定に使われてきました。この輪紋の幅は形成される時期の殻径と比例しているので、大きい個体では幅が広く小さい個体では狭くなります。人工種苗は同じ時期の天然個体に比べて大きいため、最初にできる第一輪紋の幅を比べるとその個体が人工種苗か天然種苗か区別できます。
しかし、小型の種苗で放流する海域では輪紋の幅が人工ウニと天然ウニとで重複すること、輪紋の形成に餌料環境が影響すること、さらに生殖板を研磨する際に削りすぎて第一輪紋をとばしてしまうことなどが問題としてあります。
そこで、魚類の耳石等で用いられている、ALC(アリザリンコンプレクソン)染色について検討を行ってきました。染色方法はALCを用い、通気した小型水槽に100ミリリットル/リットルと50ミリリットル/リットルの2種類の濃度になるように調製し、その中に殻径約17ミリメートルの稚ウニを2時間浸漬して行いました。なお、試薬調製の際にALCは水に非常に溶けにくいため、薄い水酸化ナトリウムに溶かした後に、塩酸で中和しました。
当初は、年齢査定と同時に調べることが可能な生殖板について観察してきました。1年目までは染色部位が容易に確認でき、また二重染色も可能であることが分かりましが、2年目では染色部位がかなり不明瞭になりました。そこで、岩手県でキタムラサキウニについて報告されている口器の中間骨について調べたところ、2年以上たってもはっきりと染色部位が識別できることが分かりました。
口器は身を剥いて出荷した後のゴミとなる部分なので、漁獲された個体を大量に調べることが可能となります。また、特に削る必要もなく、取り出して直ぐに調べられる利点もあります。反面、ALCの値段が高いこと、染色の確認には蛍光顕微鏡が必要となることが問題となります。
ALC染色で確実に人工種苗が判別できることで、これまで行われていた第一輪紋による判別の信頼性や、特定の漁場に人工種苗だけを放流した際の天然ウニの混入状況を検討することが可能となります。全ての漁場でALC染色ウニを放流することは難しいとしても、海域の特性や漁業の実態、調査体制に応じて(1)第一輪紋幅による判別、(2)ALC染色による判別、(3)放流場所を限定すること、を選択肢として現場に提供できると思います。
最後に材料提供でお世話になった留萌北部地区水産技術普及指導所の皆さんに感謝いたします。
    • ALC染色部位
      図1 エゾバフンウニ口器の中間骨で確認されたALC染色部位
    • ALC二重染色部位1
      写真1 エゾバフンウニ生殖板のALC二重染色部位

      (明るく発色している部分)、B励起フィルター使用

    • ALC二重染色部位2
      写真2 エゾバフンウニ生殖板断面のALC二重染色部位

      詳細は写真1と同様

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