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林産試だより2005年8月号 低ホルムアルデヒド家具を調べる
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低ホルムアルデヒド家具を調べる
VOC対策プロジェクトチーム


 はじめに

 北海道の新築住宅は,平成15年に建築基準法が改正され,建材から発生するホルムアルデヒドが規制されてから,室内のホルムアルデヒド濃度は劇的に減少し,現在ではほとんどの住宅で厚生労働省が定めた指針値を下回るようになりました。
 そのため,今後室内空気質に影響を与えるのは,居住者によって持ち込まれる様々なものといえます。中でも現在最も注目されているのが家具です。
 家具から発生する化学物質に関する法的な規制は,特に定められておらず,業界の自主規制に任されているのが現状です。
 このような状況を踏まえて,家具から発生するホルムアルデヒド濃度の測定方法を確立し,室内空気質に及ぼす家具の影響を推定する手法の検討を行いました。

 家具から発生するホルムアルデヒド量を調べる

 一般に,家具からどのくらいホルムアルデヒドが出ているかを調べる方法は,家具を構成する材料それぞれから発生しているホルムアルデヒドの量を測定し,それから全体のホルムアルデヒド発生量を推定しています。そこには,家具の形状は加味されていません。実状に近い発生量を調べるためには,実大サイズの家具をそのまま測定することが一番です。
 そこで,林産試験場では,実大家具が入るステンレス製の箱(写真1)を作り,測定方法,条件などを検討しました。
 また,得られた実大家具から発生するホルムアルデヒド量から,その家具を部屋に設置した場合のホルムアルデヒドの室内濃度を予測しました。
写真1 家具測定装置

 家具の数と換気量のホルムアルデヒド室内濃度への影響

 試験の結果を基にして,6畳間(23.3m3)の部屋(部屋自体のホルムアルデヒド室内濃度28μg/m3)に家具を置いた場合の,設置個数と推定室内濃度の関係を計算してみました(図1)。その結果,使用された材料のホルムアルデヒド発生量が大きいもの(F☆☆)では,個数が増えることによって,発生量が少ないものより,室内濃度への影響がより大きい結果が得られました。
 また,換気量を増やすことによって,ホルムアルデヒド室内濃度は急激に低下します。発生量が少ない材料で作られた家具では,換気回数0.5回/h程度でほぼ家具を入れる前の濃度になりますが,発生量が多い材料で作られた家具では,1.0回/h以上の換気をする必要がありました(図2)。
図1 家具の設置個数と推定室内濃度 図2 換気回数と推定室内濃度

 市販家具をはかる

 研究の成果を活用して,市販されている4種類の家具から発生するホルムアルデヒド量を測定し,その結果から推定室内濃度を計算しました(表1)。
 その結果,無垢の木材を用いた収納箱からはほとんどホルムアルデヒドが発生していませんでした。他の家具からは,少しですが発生していました。この量は,家具設置前の部屋のホルムアルデヒド濃度が0μg/m3の場合に,その家具を1個設置するだけでは,問題にはなりませんが,設置個数が増えると,無視できないくらいの室内濃度になることがうかがえました。
表1 市販家具のホルムアルデヒド発生量測定結果から算出した推定値

 今後の対応

 家具から発生するホルムアルデヒドの影響に関する研究や評価方法が確立されていない今,発生量を確認した低ホルムアルデヒド家具であることをアピールすることは,安全性を重視した家具作りをしているという認識をユーザーに持ってもらう非常によいチャンスです。
 旭川地域は,我が国有数の家具産地として知られています。そのため今後,本研究を通じて旭川家具メーカーと連携を取りながら,各メーカーが製造している家具のホルムアルデヒド濃度の測定を進め,旭川家具=低ホルムアルデヒド家具の実証をするための方策について検討を進める予定です。そのためには,さらに試験方法を簡略化すると同時に,旭川家具工業協同組合との連携を図る必要があります。
 また,本研究では16年度はホルムアルデヒドについての検討を行いましたが,それ以外のVOCについても安全性を示すことによって,信頼性がさらに向上すると思われることから,今後トルエン,キシレンなどのVOCにも積極的に対応することが必要であると考えています。
 
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