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林産試だより2007年9月号 Q&A 先月の技術相談から きのこの廃菌床・廃ホダ木の発生量と利用実態について

Q&A 先月の技術相談から

きのこの廃菌床・廃ホダ木の発生量と利用実態について


Q:きのこの廃菌床・廃ホダ木の再資源化を検討していますが,発生量とどのように利用されているかを教えて下さい。


A:菌床栽培のきのこを採り終えた瓶や袋のなかに残っている培地(おが粉と栄養材)のことを「廃菌床」といいます。これらは,主に掻(か)きだし機等によって容器から出され,施設外に堆積されます。一方,原木栽培のホダ木はきのこを数回採取した後,樹皮がむけた状態で屋外等に積まれます(写真1)。この使用済みの原木のことを「廃ホダ木」といいます。


写真1 廃ホダ木

 シイタケをはじめスーパーに並ぶなじみ深いきのこのほとんどが道内で生産されており,上記の廃菌床や廃ホダ木が相当量発生しています。

 道内のきのこの廃菌床・廃ホダ木発生量について,廃菌床発生元単位1)という瓶や袋の単位収穫量とひとつの培地の乾燥重量から推定してみました(表1)。全国(平成16年)では廃菌床が約30万トン,廃ホダ木が約13万トンと推定されていますが,道内(平成17年)では廃菌床が約13_800トン,シイタケ廃ホダ木約1_700トンの合計15_500トンほど発生していると推定されました。

表1 道内のきのこ菌床栽培における廃菌床の発生推定量
表1 道内のきのこ菌床栽培における廃菌床の発生推定量

 これら発生した廃菌床・廃ホダ木はそのままでは産業廃棄物として有償処理となってしまいますが,活用法によっては有用なバイオマス資源となります。以下に廃菌床・廃ホダ木の利用例を示します。

 まず,廃ホダ木ですが,主にビニールハウス等の暖房用に灯油の代替燃料として利用され,生産のコストダウンが図れるほか,マイタケ菌床の培地材料として利用するとマイタケの増収効果が期待できるとされています。

 一方,廃菌床は,主に野菜等の生産農家に引き渡され,堆肥として利用されているほか,畜産業では家畜の敷料の一部にも利用されています。これらの利用法はほとんどが無償取引きのため,廃菌床の高次的利用開発による利益増を期待する生産施設は少なくありません。

 そこで,民間企業をはじめ全国の大学や林産試験場等の公設研究機関では,それぞれ廃菌床から付加価値のある製品を得るために独自の利用技術開発を行っています。研究実績が公表されている事例としては,

 1)廃菌床のエタノール変換技術の開発,2)廃菌床から有用物質の抽出,3)生分解ポットの開発,4)廃菌床による汚染土壌の無害化,5)燃料用ペレット原料としての利用,6)きのこ培地への再利用,7)家畜飼料への利用,があります。

 これらのほかにも利用法が検討されていますが,利用技術として定着している状況ではありません。今後の研究成果が期待される分野と言えるでしょう。

参考文献

1) 松村ゆかり,藤本清彦,高野勉:第56回日本木材学会研究発表要旨集(秋田),CD版,2006.

(きのこ部生産技術科 米山 彰造)

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