第18回北海道こども木工作品コンクールの紹介

企業支援部 技術支援グループ 高山光子



 林産試験場では,(社)北海道林産技術普及協会と北海道木材青壮年団体連合会との共催で,「北海道こども木工作品コンクール」を毎年開催しています。このコンクールは,日常あまり手にすることのない木工道具を使用し,想像力を生かして一つの作品に仕上げるという体験を通して,子供たちの木材や樹木への興味を育み,木工技術の向上を図ることを目的としています。木工工作個人の部,団体の部,レリーフ作品の部の3部門において,北海道内すべての小中学校に作品の応募を呼びかけ,応募作品については,美術館や学校教育関係者などによる審査委員会で,部門ごとに最優秀賞,優秀賞,特別賞を選考し,最優秀賞には知事賞として知事賞状を授与しています。
 18回目となる今年のコンクールには,全道の小中学校21校から183点の作品がよせられました。ここでは,9月15日(水)に開催された審査委員会で選ばれた受賞作品を中心に今年のコンクールについて紹介します。

 木工工作個人の部


 木工作品個人の部には13校から87作品が寄せられました。特別支援学級や工芸部からの応募もあり,素材の持ち味を活かした造形的な作品から実用的な木工作品まで子供たちの創意あふれる内容豊かな作品が集まりました。

 その中で最優秀賞には岩見沢市立第二小学校2年の後藤健志さんによる「木の象」が選出されました。小枝を束ねたものを象の体に見立て,松ぼっくりで耳を作るなど素材の形を生かし工夫して作り上げた小学生らしい作品です。「子供の感性がよく出ているところが良い」「小学生らしい素直で好感の持てる作品」「平面的な素材で作りがちな耳を松ぼっくりで立体感のある耳にしているのがいい」など審査委員全員が好感をもって評価しました。

 優秀賞には様々な形の端材を積み上げて作り上げた造形力が評価された「未来の災害救助機」(札幌市立東栄中学校2年 工藤佑太さん)と,1×4材で制作した実用的な作品ながらドリルで猫の足跡型の通気穴を開けるなど楽しい工夫がなされた「キャットハウス」(札幌市立あいの里東中学校2年 菅野真生さん)が選ばれました。

 特別賞には松ぼっくりやドングリなどで作った「木の実で作ったうさぎと犬」(中標津町立中標津小学校4年 渡部真侑さん)と箱の中に枝や松ぼっくりなど自然素材で昆虫を表現した「カブトムシとクワガタとトンボ」(根室市立花咲小学校6年 佐々木広人さん),自分の家のミニチュアの制作に挑戦した「私の暮らしている家」(旭川市立愛宕東小学校6年 花輪愛満さん),六角形の棚を自由に組み合わせることのできる「自在組合せ飾り棚」(札幌市立あいの里東中学校2年 山口空さん)の4点が選ばれました。


 木工工作団体の部


 団体の部には3校から3作品の応募がありました。
 最優秀賞には置戸町立勝山小学校3~6年生12人による「祭りだよ!全員集合」が選ばれました。木の幹や切り株を舞台にドングリと小枝の人物たちが全国の様々な祭りを繰り広げる様子を生き生きと表現したダイナミックで完成度の高い作品です。人物一人一人に動きや表情があり細部まで工夫した楽しい作品です。

 優秀賞には当麻町立当麻中学校の美術部による「集うII~渓流の鳥たち~」と滝上町立濁川小学校4,5,6年による「走れ!濁川サッカー」が選ばれました。  前者は,木に集まる色とりどりの鳥たちを表現した作品で,一羽一羽に制作した生徒の個性が現れた鳥たちをまとめて一つの作品に仕上げてあります。「デザインセンスあふれた良い作品」「仕上がり完成度が高い」など高い評価を得ました。
 また,後者は周りを囲ってサッカー場に見立てた中で繰り広げられる緊迫した試合の様子を,囲いの上からたくさんの様々な生き物たちが応援している様子を表現した作品で,動きがあり楽しい作品に仕上がっていると評価されました。


 レリーフ作品の部


 レリーフ作品の部は林産試験場で開発した「アート彫刻板」を使って作品を作成してもらいます。この彫刻板は,赤色の顔料を加えた接着剤で数枚の単板を貼り合わせた合板で,彫り方によって赤い接着層が様々な表情となって現れます。
 今年はこの部門への応募が少なく,5校から93作品と昨年の約3分の2にとどまりました。
 今年は全体的にアート彫刻板の特長を生かして彫り込んだ作品が少ないとの評価で,最優秀賞については該当する作品は有りませんでした。

 その中でも,背景をアート彫刻板の特長を生かして彫り込んだ小樽市立若竹小学校5年の源玲さんの「森の中の甘いさくらんぼ」と細かい線を生かして彫り込んでいる登別市立幌別中学校2年,窪田結衣さんの「フクロウ」が優秀賞に選ばれました。

 特別賞には,アート彫刻板の層を平面で生かしシンプルであるがデザイン的な点が評価された「美しい山並み」(大樹町立尾田中学校3年 藤内博史さん)とわかりやすくインパクトの強い作品と評価された「密林の王者」(厚沢部町立鶉中学校2年 中村一郎さん)が選ばれました。
 アート彫刻板は,深くまで彫り込むほど,層による効果で立体感が生まれ表現の幅が広がります。今後レリーフ部門への応募校を増やしていくためにも,作品募集時にアート彫刻板の特長や良さを,指導する先生方に十分伝えていくようにしたいと考えています。


 コンクールを終えて


 今年のコンクールは,初参加の学校や特別支援学級からの応募,中学校の美術部や工芸部からの応募があり,これまで以上に幅広い児童,生徒の皆さんからの作品が集まりましたが,レリーフ部門を中心に参加校,作品数とも減少しており,今後はさらに多くの学校に参加してもらい,より内容の豊かなコンクールとなるよう募集方法などを再検討する必要があると考えています。今後ともこのコンクールをとおして,想像する楽しさ,一人ひとりの発想を自分の手で作品に仕上げていくというおもしろさをより多くの子供たちに経験してもらうとともに,普段触れる機会の少ない木材に触れ,木や自然とのつながりを感じることができる機会となるよう取り組みを続けていきたいと考えています。
 なお,コンクールに応募された全作品183点は,「北海道こども木工作品コンクール展」として林産試験場内「木と暮らしの情報館」で10月15日(金)まで展示し,多くの方に個性豊かな作品をご覧いただきました。

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