道産木材データベース


ブナ


ブナ林

名称  和名:ブナ
    別名:シロブナ,ソバグリ,ホンブナ(イヌブナに 対して)
    アイヌ語名:ピラニ pira-ni (崖・木)
    漢字表記:山毛欅,椈,「木」偏に「無」の文字をあてる
    英名:Siebol's beech,Japanese beech
学名  Fagus crenata Blume
分類  ブナ科ブナ属
分布  日本(北海道南西部~鹿児島県)

生態・形態
 ブナ属は温帯の落葉広葉樹林の優占種で,北半球の温帯全域に10種が分布する。国内では蘭越町尻別川支流の道有林「ツバメの沢ブナ保護林(3ha)」を北限に鹿児島県高隈山まで分布する。低地~山地の肥沃な土地を好み,耐陰性が高くミズナラ,イタヤカエデ,シナノキ等,多くの広葉樹と混交する。広範囲にわたり林分を優占するが純林は多くない。黒松内町歌才の優占群落は自生北限地域の代表的森林として国の天然記念物に指定されている。

 高さ30m,直径1.5m以上になる。幹は通直であるが枝はよく分岐し,壮大な樹冠をつくる。樹皮は大径木でも裂けずに平滑でつやがある。灰白色~暗灰緑色で,地衣類の付着による斑紋を持つ。一年生枝は無毛,ややジグザグに屈折する。
 葉は互生し,やや硬く光沢があり,先端がとがった卵形で波状縁。長さ4~9cm,幅3~5cm。側脈は7~11対で裏側にはっきりと隆起する。秋には鮮やかに黄葉する。
 雌雄同株。花は5月頃開花。雄花序は黄褐色,1~3cmの柄に複数がまとまって下垂する。雌花序は黄緑色で上向し,軟毛が密生する。果実(堅果)は3稜のあるとがった卵形で長さ15mmほど,軟らかいとげを持つ殻斗に2~3個が包まれる。10月頃熟し,殻斗は4裂する。「ソバグリ」の名は,堅果がソバの実に似るためか,あるいは果実の「稜」を指す古語が「ソバ」であったことからともされる。果実は野生動物の貴重な食料源となる。5~6年おきに豊凶を繰り返す。

 ブナは国内の広葉樹では最も蓄積が多く,古代から動物はもとより人類の生活にも食料,燃料,木材として関わりが深い。東北各県,長野県,岐阜県が生産の中心であるが,高度成長期,乱伐とスギの造林,伐採跡地でのナラ類の更新などにより資源量・質ともに低下した。
 九州から日本海側を除く東北地方にかけてはイヌブナ(F. japonica Maxim.)が分布する。

樹皮,花,枝,葉

木材の性質
 散孔材。材色は淡灰白色~淡赤褐色で心材と辺材の区別は不明瞭。しばしば濃褐色の偽心材を伴い,樹皮がなめらかで偽心の少ない個体を「シロブナ(アオブナ)」,偽心の多い個体を「アカブナ」と称して区別することがある。肌目は緻密。板目面に見られる放射組織(胡麻目模様)や柾目面の光沢が美しい。重厚な材だが加工性はよく,接着性,塗装性,表面仕上げも良好。粘りがあり裂けにくいので曲げ木に適する。耐朽性は特に生材の状態できわめて低い。乾燥に伴う狂いが大きいが乾燥後は安定する。乾燥に伴う変色が生じやすい。

木材の性質それぞれの意味については,「トドマツ」の項で説明しています。

主な用途
 伝統的に漆器木地,日常家具材,薪炭材として用いられてきたが,明治期以降の乾燥・加工技術の発達により,狂いやすさ,腐りやすさ等の欠点が克服され用途が拡大した。さらに戦後,フローリング材としての需要が急増した。
 現在ではフローリング材,家具材に多く用いられる他,合板用材,造作用材,玩具材,器具材,漆器木地,パルプ材などに広く使われる。パチンコ台にはブナ材が多く用いられる。
ヨーロッパ諸国では古来より家具材,器具材などとして広く利用され,デンマークでは国の木に指定されている。

引用(木材の性質に関する数値等)

・日本の木材:(社)日本木材加工技術協会 1989

参考

・原色日本植物図鑑 木本編【II】:北村四郎・村田源 保育社 1979
・外材と道産材-材質による比較(広葉樹・散孔材):佐藤真由美 北海道立林産試験場 林産試だより 1992年7月号
 http://www.fpri.hro.or.jp/rsdayo/26153024001.pdf
・知里真志保著作集 別巻I 分類アイヌ語辞典 植物編・動物編:知里真志保 平凡社 1976
・ブナ帯文化:梅原猛 他11名 思索社 1985
・黒松内町ブナセンターホームページ http://www.host.or.jp/user/bunacent/index.html
・木の大百科:平井信二 朝倉書店 1996

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